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田舎暮らしの本 12月号

11月2日(火)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

ニセコ滞在から東京に帰らない! 子も親もうれしい 無添加アイスを夫婦で開発【北海道札幌市】

子どもの気持ちも小腹も満たし、親もうれしい無添加アイス「Pocco」(ポッコ)。北海道のフルーツや野菜を活かした新しいおやつが昨年誕生した。家族との時間を大切にしながら、思いを具現化していく夫婦の物語。

バーベキューや夕涼みもできる屋上で、姉のくららちゃん(11歳)と妹のさらちゃん(5歳)と一緒に。

自宅の壁の一部に大きなホワイトボードを設置。頭に浮かんだアイデアを書き留め、情報を整理する際にも使用している。
萩原美緒(はぎわら・みお)
コロッケ株式会社代表取締役 。1983年、青森県生まれ。東京外国語大学卒業後、2008年にクックパッド株式会社に入社。コーポレートブランディング、採用責任者、海外事業部のオペレーションを歴任。札幌市へ移住後も子会社で新規事業に携わり、2018年に退職。2019年2月にコロッケを設立し、6月から販売を開始。新たな商品開発にも取り組み中。
萩原 学(はぎわら・がく)
コロッケ株式会社取締役。 1981年、兵庫県生まれ。京都大学大学院情報学研究科卒業。ゴールドマン・サックス証券株式会社に勤務後、ウォンテッドリー株式会社の共同創業者となり、サービス開発やビジネス部門、ファイナンスの責任者を務める。コロッケでは財務管理、在庫管理などを担当しながら経営全般をサポートしている。

北海道まるごと! 1歳からのおやさいアイス
Pocco(ポッコ)
北海道産の野菜やフルーツを使用し、添加物や白砂糖を使わず「おいしく」「からだにやさしく」つくったパウチ入りスティック型アイス。常温で長期保存可能な技術を用いて製品化し、忙しい家庭にもポストに届くシステムを構築。定期便アプリで簡単に注文できる。「 わんぱくキャロット(りんご、にんじん)」「わがままグレープ(ぶどう、プルーン)」「おねだりストロベリー(いちご)」の3種。味は不定期に変わる。

子どものおやつが家族だんらんの妨げに

 家族が皆、日々の暮らしを楽しみながら、都心を離れて起業し、遊びにも妥協せず自然体で暮らす。とかく都会での会社勤めに慣れた身にはどこかに無理なしわ寄せがきてしまいそうな理想にも思えるけれど、北海道札幌市で暮らす萩原さん夫妻と話していると、そんな生き方は考え方ひとつで誰でも選べるのかもしれない、と思えてくる。一番の幸運は、家族が同じ方向を向いていたことだろう。

 北海道産の果物や野菜を使った無添加アイス「Pocco」を開発したコロッケ株式会社の代表・萩原美緒さんは、青森県八戸市(はちのへし)生まれ。学生のころから東京で暮らし、料理レシピの投稿サイトで知られるクックパッド株式会社でコーポレートブランディングや新規事業の立ち上げなどに携わってきた。料理が好きだったのかと尋ねると、「東京ではどちらかというと少し面倒でした(笑)。料理への興味を持ったのは、じつは北海道に来てからなんです」と美緒さん。

 会社勤めをしながら子育てをし、仕事の前後に食事をつくるとなると、好き嫌いの話ではなくなるのが当然だろう。おなかを空かせた子どもを前に慌てて夕飯を用意する間、手近なお菓子を与えてしまうこともしばしばあったそうだ。

「からだにいいものを食べさせたい、家族揃って夕食を楽しく食べたいと思っていても、お菓子でおなかがいっぱいになってしまって思うように食べてもらえない。同僚に話を聞いても、同じような悩みを持つ人は多いと感じました」

ニセコ滞在で北海道に恋をした

 そのジレンマが嘘のように解消したのは、5年ほど前にたまたま巡ってきた北海道での短期移住生活の際だ。夫の学さんは外資系投資銀行勤務を経てIT関連企業の創業に携わり、役目を果たしたタイミングで退職。同時に美緒さんの産休期間も重なった。長女のくららちゃんはまだ保育園生だったこともあり、東京にいなければならない理由が一時的になくなった。

 バックカントリースキーをはじめアウトドア好きの学さんの希望もあり、家族は北海道ニセコエリアでコンドミニアム生活を送ることに。3カ月だけのつもりだったが、そのときすでに東京の賃貸住宅は引き払ってしまっていたという。

 その身軽さの根底には、学さんの「北海道でなら、いざとなったらスキーガイドなどやりたい仕事がたくさんある」と断言するしなやかさがある。すがすがしいくらいに、何かにとらわれる不自由さを感じさせない。

 ニセコでの生活は「ひたすら遊んだ」という。外国人も多く暮らす土地柄、せっかくなのでくららちゃんは短期インターナショナルスクールを楽しみ、夫妻は温泉に通ったり湧水を汲みに行ったり、近くの道の駅へ野菜を買いに行ったり。

「水、野菜、お米が本当においしかったんです。素材がおいしいと、料理にそれほど手をかけなくても充分おいしい食事ができるんだって思いました」

 と美緒さん。ゆっくりと食材を選び、家族みんなが揃って食卓につく時間は、東京にいるときにはなかなか実現できなかった豊かなひとときだった。そしていつしか、東京に帰らなくてもいい理由を頭の中で考えるようになっていった。

 美緒さんはなんと一度も東京に帰ることなく、北海道で暮らしながら仕事に復帰。遠隔での仕事を会社が認め、約2年間引き続き勤務した。
 当初はニセコエリアで家を探したが、ちょうどいい賃貸住宅はほとんどなく、高額な戸建てが多かった。それに比べ札幌市内は賃貸住宅が多く、大都市とはいえ中心部から少し離れるだけで豊かな自然環境もある。

 2018年には札幌市中央区の一軒家を購入。公園の一角に立つ珍しい物件で、窓からは木々の緑がよく見える。仕事をするにも、子どもたちが遊ぶにも、愛犬「おでんちゃん」の散歩にもぴったりの環境だ。「家はいくらでも改装できるけど、周囲の環境は変えられない」。そうして現在の家には、公園側にサンルームのように明るいキッチンを増築し、バーベキューもできる屋上をつくった。

公園に隣接した札幌市の自宅。屋上付きの手前の建物が増築部分。

自然光がいっぱいに入る増築部分のキッチン。広々と開放的で新しい商品のアイデアも浮かびそう。

家族が揃って北海道の食の豊かさを楽しむ食卓。「移住してから子どもたちはトマトやトウモロコシをおやつに食べるようになった」と美緒さん。「Pocco」も毎日家族の誰かが食べているそう。

道産食材で常温保存OK。郵便ポストに届けるアイス

 北海道で暮らすうち、家族みんなが食の魅力にどんどん引き込まれていく。穫れたてのトウモロコシやアスパラガスのみずみずしさ、芳醇な香り。近海で獲れる魚介類の豊富さ、新鮮さ。それらはすべて、圧倒的な季節感で移り変わっていく。

「北海道産という表示の多さにも驚きました。食料自給率の高さ、産地の伝統や思いの強さを感じ、北海道の食材で商品をつくってみたいという思いが膨らみました」

 美緒さんは会社を辞め、夫婦で動き出す。心に浮かんだのは、家族との食事の時間だ。

「最初はほかのおやつも考えましたが、親はうれしくても、子どもがあまりうれしそうじゃない。おやつの時間は楽しい、うれしいものであるべきだと思うんです」

 そんなとき、「アイスクリームを食べに行こう」と言った際、子どもたちは大喜びで〝テンション爆上がり〞になったそう。アイスなら子どもが喜び、健康的で、夕飯前に食べても満腹にならない「魔法のおやつ」になるのでは!

 食品の開発は初めてのことだったが、生産者さんや技術指導に当たった食品加工研究センター、製造会社などの人びとは、新しい挑戦をすぐに受け入れ、後押ししてくれた。

「北海道は〝3代たどれば開拓者〞といわれます。未開拓の分野もあって、新しい試みを応援してくれる土地だと感じました」

 ふたりはうなずき合う。多くの人の支えを経て生まれたのが魔法のおやつ「Pocco」。余市町(よいちちょう)や日高町(ひだかちょう)産のフルーツやニンジンを使った3種類の味が基本で、着色料や保存料を使わない完全無添加、甘さは北海道産のてんさい糖で調整している。

 さらに、配送時に受け取りのわずらわしさがないよう常温でポストに届くというのも美緒さんのこだわり。フルーツを使った食品を無添加で常温保存するというのは、協力会社も初めての試みだった。今後は北海道ブランドを活かした輸出も視野に、野菜を使った商品開発にも力を入れていく予定だ。

 夫婦で同じ仕事に向かっていると、ぶつかることもある。「仕事は全力でやる遊び」。それが学さんの口癖だという。萩原さん一家は今、北海道での生活を全力で楽しんでいる真っ最中だ。

家から出ればすぐに公園というロケーション。子どもたちの遊び場にも、愛犬おでんちゃんの散歩コースにもなる。

常温で届き、自宅で凍らせてアイスにする「Pocco」。そのままフルーツ・ベジタブルソースとしてヨーグルトにかけたり、炭酸水で割って飲み物にしたりと、アレンジできるのも常温パウチの魅力。
いつものPocco/1455円(1本20g×各4本・計12本入り、送料込)、初回3本無料おためしPocco/送料396円のみ
https://pocco.me/

 

文/春日明子 写真/松浦あきひさ

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