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最新号のご案内

田舎暮らしの本 7月号

6月3日(木)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【8】

前号までに棟上げが完了した和田邸である。今回からは新しいステージに突入する。すなわち屋根と外壁の施工である。その前に「足場組み」「家起こし」とやることがいっぱいだ。

一瞬、「釣れますか?」と尋ねたくなるほど長いドリルのアタッチメント(もちろん釣り竿ではない)。

実証実験で耐震性は問題なし

2016年5月16日午後9時23分ごろ、茨城県南部を震源とするマグニチュード(M)5.5の地震が発生した。何気なく地震速報を見ていると、小美玉市(おみたまし)で震度5弱。
げげっ。和田が住む隣町ではないか。和田邸は大丈夫か。あの巨大丸太の下敷きになって死んでいるんじゃないのか和田? 気がかりな箇所を数え上げればキリがないだけに心配である。
さっそくメールすると、すぐに返事が来た。
「地震は大丈夫でした。とりあえず、我が家のある石岡市は震度4でしたが、まったく問題ないです。筋交いが入れば、もっと頑丈になるでしょう。実証実験により耐震性は問題ないということにします
実証実験ってアンタ……(汗)。

和田の技術は確信犯的下手くそ

というわけで作業に入ろう。
棟上げのあとは速やかに屋根工事に入るのが普通なんだが、金物と筋交い(すじかい)を先に入れちゃうことにした。なぜなら地震がオソロシイからである。
いつもどおり中山が遅刻して和田邸に到着すると、すでに作業は始まっていた(←って、当たり前のように遅刻するな! 編集担当・水野)。しかもなにやら騒がしい。「引き寄せ金物」を取り付けているのだ。
引き寄せ金物とは柱と梁桁(はりけた)を結合するための金物である。材木にボルトを通して圧着するので非常に強力である。問題は我われの技量不足で、真っすぐに穴が開けられないこと。にもかかわらず和田が用意したのはドライバドリルに取り付ける長さ50㎝の延長バーである。和田邸は二重桁なので、貫通させるボルトの長さが60㎝以上ある。通常のドリルビットでは当然届かない。そこで急きょ用意したものらしい。
和田「今日のヒミツ兵器だから!」
得意満面の和田が、さっそく上から穴開けを開始。しかし早々に問題発生である。桁の上に載せてある母屋(もや)が邪魔で垂直に穴がうがてないのだ。
阪口「仕方ないね。母屋をいったん外さないと」
和田「無理! 母屋はもう金物で束(つか)に固定しちゃったし!」
阪口「……」
和田「いいじゃん。ナナメに開ければ!」
一同「ええーっ。いいのか?」
和田「大丈夫、大丈夫!」
まさに「非常識が常識」の和田邸建築現場である。

まず、桁の上側から穿孔。しかし、二重桁の幅がありすぎて、延長ビットを使用しても貫通しない。そこで、桁の下側からも穿孔。途中で穴をドッキングさせるという計画である。結果は写真のとおり。もうどうしようもないくらいナナメに突き出てしまっているではないか。これはもう技量とかなんとかいうレベルではないのである。強いて言えば、「確信犯的下手くそ 」。

母屋から逃げるように上からナナメに穿孔する。しかし下からは、しっかり垂直。これで真っすぐ貫通するとは、とても思えないんだが……。

母屋から逃げるように上からナナメに穿孔する。しかし下からは、しっかり垂直。これで真っすぐ貫通するとは、とても思えないんだが……。

結果はこのとおり。二重桁をぶち抜いて引き寄せ金物を取り付けるという荒技。しかも、ひん曲がってるし。

サビサビ、ボロボロのクランプ

その間に中山と編集担当・水野は足場の組み立てである。和田が用意した単管パイプとクランプは新規で購入したものではもちろんなく、ご近所さんから借り集めた使い古しである。クランプに至ってはサビサビのボロボロ。しかも、どうやって使うのかわからないような初めて見るタイプのクランプも交じっている。
阪口「ここん家には新品っていうものが何ひとつないね」
中山「最近ムカツクのが、インパクトドライバのビットがダメで、ビス頭をなめまくるんだよね」
和田「それは打ち方が悪いんじゃないの?」
全員「ビットが悪いの!」(←買えよ新しいの)
文句を言っても仕方がないので作業を進めよう。梁の上によじ登るのを考慮して、2.5mの高さに足場を組むことにし、クランプを留めていき、単管パイプを横に渡す。その上に足場板を載せる。「足場板の固定にはVVFケーブル(一般家庭用の配電線)を使うと便利」というのは阪口が持ってきたアイデアであった。
じゃんじゃん組んでいき、午前中のうちに建物の南側と東側に足場が完成した。

中山が遅刻したので、1人で単管パイプを運ぶ編集担当・水野。「中山さんは遅刻するし、和田さんは気軽に『運んで』って言うし……」。

遅刻した中山が来てやっと2人作業で足場を組む。外壁の施工を考えて、建物から適度な距離をとるのがコツだ。近すぎると不便。遠すぎると届かない!

家の裏から出てきたクランプは、見たこともない形状。ボルト式でなくて、楔(くさび)みたいなので留めるタイプ。しかも肝心の楔が紛失してて使いものにならず。

足場が組み上がったところで記念写真。じつはこのとき、棟上げ作業からずっと怖くて登れなかった足場に初めて登った中山であった。

ダサダサの「筋交い君」が思わぬ活躍

午後からの作業は「筋交い入れ」である。言うまでもなく筋交いは耐震性を高めるのに極めて重要である。当初は「貫(ぬき)と小舞(こまい)で土壁にする」と公言していた和田だ が、地震頻発中の茨城のこと、やめたほうがいいとみんなに説得され、筋交いを入れることになった。
さてここで、再び阪口のアイデアが炸裂した。それは、
阪口「これが『筋交い君』です」
一同「ぷっ。なにそれ?(失笑)」
阪口「だから『筋交い君』だってば」
和田「なんか、ダサくね?」
水野「小学生の夏休みの工作みたいだよね」
阪口「ふっふっふ。笑っていられるのも今のうちだぞ」
中山「どうやって使うのよ?」
阪口「こうやって土台と柱の角に当ててだな……」
つまりこういうことである。筋交い君の両端にビス留めしてある木っ端は可動式で、角に当てるとその角度に合わせて回転する。本体は2本の材を組み合わせてあり、伸縮自在。
阪口「というわけで、あらゆる角度に対応して、自在に筋交いの長さと角度を割り出すことができる画期的な器具なのだよ(えっへん!)」
一同「へえええ。これがあ?」
失笑していた一同だが、実際に使ってみるとすこぶる便利であった。実際、筋交いの角度は、計算で割り出しても絶対誤差が出るので、現場合わせするしかないのだが、それがじつに面倒なのだ。その点「筋交い君」だと一発で角度と長さが出るので、非常に楽ちんなのである。
阪口「便利でしょ? 特許取っちゃおうかな」
水野「調べたら、すでに商品化されてますね」
中山「やはり必要は発明の母だね」
和田「でもダサいんだよね(失笑)」
阪口「じゃあ使わなけりゃいいじゃんよ!」(←プンスカ!)
しまいには怒り出す阪口である。

筋交い君を作成する。完成した筋交い君を手に写真に納まる阪口。失笑する中山。

楽ちんになった筋交い入れだが、ここでワガママを言い出したのが和田であった。どんなワガママかというと……、筋交いを取り付けるのに「筋交いプレート」という金物を使うんだが、普通は材の外側に取り付ける。大壁だと壁の中に収まってしまうからである。しかし和田邸は真壁なので金物が見えてしまうのだ。
中山「じゃあどうすんのよ」
和田「内側に収めて」
水野「どうやって?」
和田「こうすればいいじゃん」
手順としては次のとおりである。
筋交いをはめる ➡ 筋交いプレートの位置決めをする ➡ いったん筋交いを外す ➡ 柱にプレートをビス留めする ➡ 再び筋交いをはめる ➡ 筋交いにプレートをビス留めする
一同「面倒くせー!!!」
和田「仕方ないじゃん。真壁なんだから」
中山「いいじゃんよ。金物見えたって」
和田「ダメなの!」
結局面倒な取り付け方をしなければならないのであったが……。

筋交いは「筋交いプレート」で固定するが、写真のように面倒な施工をすることに……。真壁って面倒くさい。

和田の面倒なワガママのおかげで、こんな姿勢で筋交いプレートを取り付ける編集担当・水野。

上の丸太梁が邪魔をして筋交いプレートが柱に届かない。そこで「板を噛ませる」という離れ業で対応。

人力で家を起こす? 動くわけがない!

その前に大事なことを忘れていた。「家起こし」である。
家起こしとは、斜めに傾いだ家屋を真っすぐに矯正すること。建前が終わった段階では、仮筋交いを入れているとはいえ、必ずしも真っすぐ家が建っているとは限らない。そこで、金物を入れて固定する前に改めて家の傾きを修正する必要があるのだ。
というわけで、まずはどっちにどれだけ傾いでいるかをチェックする。どうするのかと思って見ていたら、和田が持ってきたのは古式ゆかしいサゲフリであった。これをぶら下げて、丸太の上端と下端で柱の芯と水糸との距離を測る。その結果、東西方向は問題なかったが、南北では南側に若干傾いていることが判明。北側の桁にロープを結わえて家起こしすることになった。
和田「人力でやってみよう。人力社だし!」
よくわからない理由で、3人(阪口は撮影)で引っ張ってみる。案の定ビクともしない。
中山「あのでかい丸太が人力で動くわけないってば」
結局、油圧ショベルでロープを引っ張って傾きを矯正、無事に家起こしが完了したんだが、ここで阪口の素朴な質問が。
阪口「そういえばさ、レーザー墨出し器って、この前、メーカーさんから借りてなかったっけ?」
和田「ああーっ! 忘れてた!」
「見つからないのは、ないのと同じ」(人力社格言集より)だが、「(存在を)忘れているのも、ないのと同じ」なのであった。

サゲフリを下げて上端と下端で丸太との距離を測るというアナログ手法を選んだ和田。丸太なので垂直を見るのが非常に面倒だ。「レーザー墨出し器」はどこへ行った!?

人力で「家起こし」に挑戦するも、びくともしない。よく考えたら、これで動くようなら「震度3」でもヤバイのでは?  というわけで、重機で「家起こし」。和田以外全員、退避しているところに注目。

家起こし後、改めてレーザー墨出し器で柱の垂直を確認する和田。「超便利♥」。

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

人力社

ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。

人力社HP➡www.jinriki.net

阪口HP➡https://www.sakaguti.org

和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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