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田舎暮らしの本 9月号

8月3日(水)
850円(税込)

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土壁塗り【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【27】

前回までにキッチンまわりの施工が完了した和田邸。今回からは土壁塗りの作業だ。地味で面倒な作業が続くが……。施主がテキトーすぎてはかどらないことに。

掲載:2018年7月号

教本を持ち出して土壁のつくり方を示すテキトー施主。

和田が好きなのはエコ!? タダ!?
 
 遅刻した。
 いつもは前夜に自宅(東京・奥多摩)を出発し、高速道路のサービスエリアで仮眠をとって来るんだが、この日は朝7時に家を出たら、見事に渋滞にはまってしまった。
 和田邸に到着したのは午前9時45分。道中携帯が鳴りっぱなしであった。
一同「遅い!」
中山「そうおっしゃいますが、みなさん、そろそろ10時集合に戻してもいいんじゃないの?」
 昨年末に「日が短いから」という理由で、和田が一方的に「集合時間を9時にする」と宣言したのだが、そろそろ戻してもいいのではないか。
一同「どうなんだ、テキトー施主!?」
和田「10時でも、11時でも、12時でも、どうせ遅刻するじゃん」
阪口「それはいえるな」
中山「んぐ……」
水野「まぁ、早く始めて、早く終われるように、これまで通り9時集合でやりましょう」
 というわけで今日の作業は土壁塗りである。
 土壁は、粘りのある赤土に石灰や稲わらなどをすき込み、一定期間放置して発酵させたものでつくる。日本の伝統建築では、竹木舞(たけこまい)で囲った上を土壁で塗り固め、お金持ちはさらに漆喰上塗りで仕上げるのが一般的だった。現在では吸湿性やシックハウス対策、環境問題などで、その有効性が見直されているわけだが……。
和田「やっぱり自然素材だよね!」
水野「単にタダだからなんじゃないの?」
 担当・水野のスルドイツッコミに、和田がひるむ。
和田「ぐ……。それもあるけど、やっぱりエコじゃないとね!」
阪口「『エコ』じゃなくて『セコ』いんだよな」
中山「『ロハス』じゃなくて『只す』とか?」(昔は「只=タダ」のことを「ロハ」と言った)
阪口「うまいね、ザブトン一枚!」
水野「はいはい。今日の大喜利はおしまいね!」

そこは隣家との境界の側溝付近の土。当然ながら、タダだ。

和田がスコップで掘り起こしはじめる。運び役は担当・水野。

ヨタヨタとネコ車を押す担当・水野。これってもしかして……、また雑用!?

稲わらは適当な長さに切っておく。

そこは子どもの格好の遊び場でもあった。さっそく悪ガキ3名が泥の中に飛び降りる。

土コネした長靴のまま上がり込んで内装作業の続きをする和田。

 

当然ながら、その辺の土は石ころだらけ!

 ところで土壁塗りの作業は、昨年のうちにすでに始めていた(上の写真)。
 その土に稲わらなどを練り混んで1カ月ほどおいたものを掘り出してみると、白いカビみたいなのが生えていて、ずいぶん発酵が進んでいた。これをトロ舟に移してセメントをテキトーに加え、水を流し込むと、ネットリした壁材ができあがった。
和田「いいねー! このネチャネチャした感じが!」
 握りつぶすと指の間からムニューッとあふれてくる。いい具合に練り上がったのをコテ板にとって塗りはじめたんだが、気分がよかったのはここまでである。
一同「小石が邪魔だ!」
 そう。敷地のテキトーな場所の土をそのまま使ったので、石ころが大量に混ざっているのだ。
 塗り始めると、それらはコテに引きずられ、壁面に「ハレー彗星」のごとき尾を描いてしまうのだ。一同舌打ちしながら、ほじって投げ捨てる。
一同「なんとかしろよ、テキトー施主!」
和田「……なんとかして!」
一同「オマエがなんとかしろ!」

数カ月して覆いを開けてみると、カビみたいなのが生えていた。

水を加えて練ってみる。ネットリした感触が気持ちいい。

さっそく壁塗りを始める。写真ではわからないが、小石が混じっていて異常に塗りにくい。助っ人一同から文句百出。

 というようなことがあったので……(場面は現在へ)。
和田「今回はちゃんとフルイにかけといたから!」
 なんと、事前に土塊をふるっておいたらしいのだ。確かに土の感触がふっくらとしていて、小石も混じってない。水を加えると前よりもさらにソフトな仕上がりに。
水野「ホントだ。全然違う!」
和田「やっぱりフルイにかけないとダメだね!」
中山「じゃあなんで前回はやらなかったんだよ」
和田「……いやホラ! 知らなかったから!」
中山「奥多摩で三和土の土間をつくったときはちゃんとフルイにかけてたぞ」
阪口「しかもあのとき和田もいたし!」
和田「……いやホラ! 多少小石が混ざっていても大丈夫かなって!」
水野「さっきと言ってること違うし」
中山「どっかの国の政治家みたいだな」

そして今回の壁塗りでは、フルイにかけることに。

 

面倒な軒壁が丸太でさらに面倒に

 外壁の広い面は、和田が1人でボツボツ仕上げていたので、今回、助っ人一同が取りかかるのは、面倒くさい軒壁である。
 どう面倒くさいのか。
 和田邸は二重梁はり(二重桁)になっているのだが、そのすき間が異常に狭くて(幅3㎝に満たない部分もある)、しかも丸太なのでデコボコ。やりにくいったらありゃしない。
 軒壁の施工が面倒なのは、よくいわれることで、垂木(たるき)と垂木のすき間に張る「面戸板(めんどいた)」が、別名「面倒板」といわれるところからもわかる通りだ。しかし和田邸の場合、さらに桁と桁の間のすき間もなんとかしないとイケナイわけである。
阪口「で、どうすんの?」
和田「これにしました!」
 和田が取り出したのは幹巻テープ(麻布)である。
和田「これを下地の板にラス網代わりに張る!」
水野「えー、それって意味あるの?」
和田「塗り壁のとき垂れてこないでしょ。それに自然素材だから、いずれ分解してなくなっちゃう!」
阪口「分解しちゃまずいだろ」
和田 「なんで?」
阪口「土壁がはがれてくるよね? ラス網は金属だからいいけど」
和田「大丈夫大丈夫!」
 なにが大丈夫なのかわからないまま作業に入る。幹巻テープをタッカーで留めていくが、キワの部分は切り張りしたり折り込んだりで、想像通りの「面倒くささ」である。
 幹巻テープを張り終えたら、さっそく例のソフトに仕上がった土壁材を塗り込んでいく。塗り心地は極めて良好。前回とは比較にならないほど快適だ。しかしまたしても、それは束の間であった。
 和田がフルイにかけた土塊は一瞬でなくなってしまい、助っ人一同でひたすらフルイがけすることに……。そしてこれがまた異常に面倒くさいのだ。
粘土質なので崩れにくい!
フルイの目が細かい!
フルイが小さすぎる!
 要するに全然はかどらないのだ。

二重梁のすき間には、この幹巻テープを使うという。ひと巻き20mで248円と格安。

このようにすき間に張り詰めていく。

人海戦術で土壁塗り。足場板がけっこう曲がっているのが気になる。

本日の助っ人さんたちとともに、作業途中にひと休み。

阪口「なんかさ……、いいトシした大人が昼間から土こねてるって、どうなんだろうねえ」
中山「そろそろ50の声が聞こえてきたしなあ、水野さんも腰痛なんでしょ」
水野「だ、大丈夫だから!」
和田「私はまだまだ大丈夫!」
阪口「オマエだって老眼のくせに」
水野「トシのことは言わないの!」(←年齢不詳)

文/中山茂大 写真/阪口 克

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