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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

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【新年特別企画】おひとりさま女性の田舎暮らし/「田舎暮らしの本Web」プレイバック2021

2021年に「田舎暮らしの本Web」に登場いただいた「おひとりさま女性」を、本誌創刊以来のライター・山本一典さんが振り返ります。田舎暮らしに単身で踏み切った女性たちのバイタリティ、生活力、しなやかさ、粘り強さは、感嘆の声がもれるほど。なお元・おひとりさま女性も含まれます。ご了承ください。

【「おひとりさまの田舎暮らし」は当たり前になった!】

◎YouTuberの渡辺千春さん

おひとりさま

渡辺千春さんは50代で田舎暮らしを始めた。温泉施設でボディケア施術を行いながら、バイクの免許取得やキャンピングカー旅などに挑戦し、その日常をYouTubeの「旅人ちはる」チャンネルで配信している。

女ひとりの北海道田舎暮らし。旅人ちはるさんの後悔しない生き方

 今から10数年前、「おひとりさまの田舎暮らしはどうか」と編集部に提案したのは筆者である。文字通り、女性が1人で田舎に住むライフスタイルのことだが、その数年前に著名な社会学者の上野千鶴子氏が執筆した『おひとりさまの老後』が大ベストセラーとなり、その版元に少し出入りしていた私は、夫婦で移住するのが当たり前と考えられていた田舎暮らしの世界にもそういうニーズがあるのではないかと思ったのだ。実際に誌面化すると予想以上の反響があり、シリーズ化されていった。

 女性1人で田舎暮らしができるのか、というテーマはぞれほど簡単でもない。まず独身男性が圧倒的に多い地方に移住してきた独身女性は、どうしても鵜の目鷹の目で見られてしまう。それに嫌気をさして都会へ逆戻りするケースも少なくなかったのだが、現代の若者の多くは移住を好機と捕らえている。仕事で意気投合して地元の男性とゴールインしたり、移住者同士で結ばれるケースも増えているのだ。栃木県益子町へUターンしたご主人と結婚・出産した仁平彩香さんなどがその典型だ。

◎栃木県益子町の仁平彩香さん

おひとりさま

道の駅へ納品する仁平彩香さん。POPやパッケージは、すべて彩香さんの手づくり。彩香さんは元地域おこし協力隊。夫の佑一さんも地域おこし協力隊のOBで、昨年新規就農。娘の結芽ちゃんと3人で暮らしている。

女性ひとりで焼き物の町へ。地域おこし、結婚、起業、就農、 目指すは田舎のお母さん!【栃木県益子町】

 これだけ風向きが大きく変わった理由はいくつかあるが、最大の変化は総務省の地域おこし協力隊に応募する女性が急増したことだろう。上記の仁平さん以外にも、下記のような事例がある。

◎長野県飯綱町の眞鍋知子さん

おひとりさま

眞鍋知子さんは、2018年に地域おこし協力隊として飯綱町に移住した。現在はまちづくり会社に勤務。自宅の裏の休耕田を借り、念願だった馬との暮らしを実現した。

東京でパパラッチをしていた女性記者が、山里で馬と暮らすまで【長野県飯綱町】

◎和歌山県田辺市の中岡志乃さん

おひとりさま

中岡志乃さんは、2016年に地域おこし協力隊員として田辺市に移住。2018年に、酒屋の倉庫をリノベーションして「熊野野菜カフェ」を開業した。

熊野古道に面した繁盛店カフェ。ベーグル販売に、ゲストハウスも!【和歌山県田辺市】

◎岡山県吉備中央町の井上ゆき美さん

おひとりさま

井上ゆき美さんは、2014年に吉備中央町の地域おこし協力隊員第1号として移住。協力隊を退任した現在も、人と人、人と地域をつなぐ仕事に携わっている。

【移住者に聞いた】岡山県吉備中央町、チャンスに恵まれやりたいことができる街

◎島根県安来市の野尻ちさとさん

おひとりさま

2020年3月にオープンした直営店「え~ひだ市場」で働く野尻ちさとさん(写真右)と店長の須藤さん。野尻さんは、2015年に地域おこし協力隊として安来市に移住した。

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◎大分県九重町の河野綾子さん

おひとりさま

河野綾子さんは、山梨県や北海道などで暮らしたのち、故郷の福岡県へ帰って登山用具店に勤務。山好きが高じて地域おこし協力隊として九重町へ。

おんせん県おおいたで暮らそう!/くじゅう連山の美しさに魅せられ山の情報を発信【大分県九重町】

 女性が1人で田舎に移り住んでも、都会のキャリアを生かせる仕事は少なかった。ところが、地域おこし協力隊は情報発信や企画立案、案内など、女性のアイデアやパワーが生かせる職場がいっぱい。その能力の高さから、移住定住の担当者に指名する自治体も増えている。ちなみに、地域おこし協力隊は平成21年度に開始され、令和2年度の取組団体数(受入自治体数)は1065団体で、令和3年3月現在で5556名の隊員が活躍している。政府はこの隊員数を令和6年度に8000人に増やすという目標を掲げており、地域おこし協力隊の強化を行う方針だ。隊員の男女比は男性6割、女性4割で、幅広い世代の隊員が活躍しているが、約7割は20・30代の若い世代。おひとりさまが田舎へ移り住む強力なパイプになっていることは間違いない。

 地域おこし協力隊は最長3年という任期があるが、そのまま地域に定住する女性も少なくない。上記の井上さんは移住・定住支援や地方創生ベンチャー企業の広報、グラフィックデザインなど、わらじを何足か履いて東奔西走しているという。また、中岡さんはその起業能力の高さからカフェとゲストハウス2棟を経営するなど、八面六臂の活躍ぶり。全国的にこういう若い女性が増えており、「おひとりさまの田舎暮らし」はライフスタイルの1つとして定着してきた。

 林業や農業など、第一次産業に積極的に飛び込む女性も増えている。これも最近の新しい現象で、自然と共生する生き方を目指す女性が増えているのだ。下記はその一例。

◎鳥取県智頭町の奥井彩音さん

おひとりさま

奥井さんは林業を「暮らしの根源」と考えている。「水を生み出すのは山。山の環境に大きくかかわることができるのは非常にありがたいことだと感じています」。

「資源が循環する環境」での暮らしを求めて【鳥取県智頭町】

◎京都府舞鶴市の島田文子さん 

おひとりさま

京都市の実家から舞鶴市に移住した島田文子さんは、無農薬で季節の野菜づくりに励んでいる。菜園の周囲はアストロメリアやアガパンサス、キョウカノコなど、大好きな花々で彩った。

50坪の菜園付き住宅を400万円で購入し大改修。野菜と花が彩る第二の人生 京都府舞鶴市

 動機は手法は人それぞれだが、後継者不足に悩む第一次産業に女性が参入してきたのは、じつに心強い。機械化で必ずしも力仕事ではなくなっているので、こういう人材はますます増えていくものと思われる。

 北海道をバイクでツーリングしたり、馬2頭と暮らしながらDIYやガーデニングを楽しんだり、ソロキャンプの道を究めるなど、趣味を謳歌しているおひとりさまも少なくない。そこにはYouTuberや女優も含まれている。

◎女優の黒谷友香さん

おひとりさま

黒谷友香さんと22 歳の愛馬・ヨモちゃん。「今日は乗ろうかな~?と思ったら乗ります。しょっちゅうは乗らないんですけど、かわいくて、しょっちゅう触ってます(笑)」。

黒谷友香さんインタビュー「DIYと女優業って、 どこかつながっているんですよね」

◎YouTuber、アイドルのさばいどる かほなんさん

おひとりさま

さばいどる かほなんは、岐阜県出身。アイドルとして活動しながら、YouTubeで「さばいどるチャンネル」を配信。ソロキャンプ、アウトドア料理、釣り、登山などさまざまなテーマにチャレンジしている。

女子キャンプ!「さばいどる かほなん」の超かっこいいタープは予算1500円以下!

 田舎暮らしは男性がやるもの、という時代は過ぎ去った。むしろ女性の方が積極的に田舎の新しい楽しみ方を探求しており、その傾向はますます強まっている。受け入れ側もそのニーズを意識しており、柔軟に対応する自治体が増えてきた。コロナ禍も落ち着いてきた2022年、今年こそ田舎暮らしを実現したいと思っているおひとりさまにとって、チャンスの1年になるだろう。

◎香川県土庄町豊島の加賀恵里子さん

おひとりさま

加賀恵里子さんは、生まれも育ちも愛知県名古屋市。展示会の大工や、子ども向けショーでの歌のお姉さん、保育所勤務など、さまざまな職歴で身につけた多彩なスキルの持ち主。2019年4月に小豆島へ移住し、同年12月に豊島に移住。

香川県の瀬戸内の島へ。「島で暮らすのもいいな」と、ふわっと移住!【香川県土庄町豊島】

◎鳥取県境港市の歌手・奥田さやかさん

おひとりさま

奥田さやかさんは、2019年春に境港市に移住した。今は音響の仕事をする夫の隆さんとともに長男の詠さん(2歳)を育てながら創作活動にもいそしむ。

海と山のパノラマを見て暮らす毎日。好きな歌でみんなの笑顔をつくりたい【鳥取県境港市】

 

文/山本一典

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