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田舎暮らしの本 10月号

9月2日(金)
850円(税込)

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オンラインで移住相談! ママ&子ども、海外出張中のパパも参加してみた【長崎県五島市】

掲載:2022年1月

コロナ禍の間に、オンラインでの移住相談が急速に普及しました。子育て世代にとっては「子連れで外出」というハードルなしに、自宅で参加できるのは大きなメリット。遠く離れた離島の移住相談も、オンラインなら簡単です。本誌編集の強矢(すねや)が体験しました!

本誌編集の強矢とつぐみちゃん(6歳)、あづさちゃん(3歳)。海外出張の多い夫・恒雄さんと、この日は学校のため不参加の長男・恒太くん(8歳)の5人で千葉に暮らす。海のある田舎での生活を切望中!

 

千葉と五島とマルタと編集部をつないで相談

 「よろしくお願いしま〜す!」

 千葉県某所。編集・強矢(すねや)の自宅リビングに置かれたパソコン画面の向こう側から、元気のいい声が響く。この日は長崎県五島市地域協働課、移住支援員の皆さんとつなぎ、オンラインでの移住相談を体験する手はず。夫の恒雄さんは、地中海に浮かぶマルタ島(マルタ共和国)へ出張中。畜養マグロを現地で加工して日本へ海上輸送する企業で営業職を担い、いくつかの海外拠点と日本とを1カ月ほどのサイクルで行ったり来たりしている。

 つまり強矢は、この日は学校で不在の長男恒太くん以下、長女つぐみちゃん、次女あづさちゃんと、まだまだ手のかかる3人の子をほぼ一手に引き受け、本誌の編集も担うワーママ。そのため「移住相談会に行ってみたい」と思っても、3人の子連れで外出するのは大変。自宅にいながらオンラインで参加できるなら、どれほどありがたいことか。

 Zoomで五島市の支援員の方と挨拶を交わすうち、マルタ島から恒雄さんが加わった。

 「おとうさ〜ん!」

 集中力が途切れていた子どもたちが、一瞬で再び画面に釘づけに。現地時間は夜中の2時。恒雄さんはさすがに眠そうだ。お父さん、頑張って!

五島市役所と強矢の自宅@千葉、マルタ島の恒雄さん、編集長・柳@東京。離れていても、オンラインなら一瞬で全員が簡単につながる。ネット上でのやりとりはとてもスムーズで、タイムラグも感じられなかった。

 

人気の島だからこそ家探しは争奪戦

 「九州って開放的。なかでも五島市は異文化を受け入れる土壌があり、オープンです。〝子どもは宝〞という土地柄で、スーパーで子どもが走っていても『元気がよかね〜』とニコニコしてるんですよ」

 と移住支援員の藤井千絵さん。強矢が「来年、つぐみの小学校入学のタイミングで離島留学ができたらと考えてるんです」と言うと、「学年や学校が変わるタイミングで移住を考える方は多いです」と藤井さん。

 「移住者が多いので、家がなかなか見つからないんですよ」ともう1人の支援員、都 久美(みやこ くみ)さんが続ける。

 「空き家バンクは改修が必要な物件が多く、お金や時間に余裕のある人や、購入を視野に入れている人に向くかも。賃貸を希望なら民間の不動産屋さんに当たる人が多いです。でも都会のように、窓に物件情報がたくさん貼ってあったりしません。見つかったら超ラッキー」

 え〜! そんなに家探しが大変だとは。空き家バンクにはたくさんの物件が紹介されていたので、比較的簡単に見つかるのかと勘違いしていた。

 ならばまずは市営の短期滞在住宅を押さえ、じっくり探すとか?

 「短期滞在住宅に入居しても、のんびりしていると使用期限である3カ月後、これでは難しいな……と気づいて移住計画はとん挫、ということになりかねません。でも五島市って、島で仲よくなった人から家や仕事を紹介してもらうケースも多いんです」(藤井さん) 

 再び、え〜! 

 「島は地区ごとにカラーが違います。相性のよさそうな地区を探して、気に入ったロケーションの土地に家を建てるのもありかも」(藤井さん)

上空から見た五島市。「東京からの直行便はなく、長崎か福岡で乗り継いで片道約3時間。便利過ぎず、東京とのアクセスがちょうどいいのもこの島の魅力」(都さん)。

高浜海水浴場。この海の色!「 実物はもっときれい。ビーチは遠浅なので、小さい子どもも安心して遊べます」(藤井さん)。

長崎県五島市
 長崎県五島列島の最南端、福江島、久賀島、奈留島ら11の有人島と52の無人島からなる。福江島に福江港ターミナルと五島つばき空港があり、長崎・福岡と結ぶ。飛行機で乗り継ぎがスムーズなら、羽田空港から最短約3時間。福江島と、その他の離島間にはフェリーが運航。

武家屋敷短期滞在住宅。利用期間は1カ月以上3カ月未満(玉之浦住宅・奈留住宅は6カ月未満)、利用料は無料(光熱費ほか、入居者負担あり)。

ダイニングキッチン。常に数カ月先まで予約でほぼ満室という人気ぶり。「民間のゲストハウスを使うのも手」と藤井さん。「宿の人と交流して仕事や家の縁があった方もいます」と都さん。

 

国公立大学進学率約6〜7割を誇る高校も

 「移住となると、まず家族をちゃんと食べさせていけるか? そこがいちばん大事だと思います」

 と恒雄さん。

  「例えば恒雄さんが五島市で仕事を探したら、どんな仕事があって年収はどれくらいか、この場で聞けますか?」

 と編集長の柳から質問が上がる。

 「マグロの養殖業も含め、五島市には2000を超える企業があります。市役所で独自に企業ガイドブック『五島で働こう』をつくり、幅広い業種の年商や初任給などの情報を提供しています。仕事を決めずに移住して、居酒屋で隣り合わせた人に紹介してもらった!なんてこともよく聞きます。島内にハローワークの職員がたくさんいる感じです(笑)」

 と藤井さん。皆さん、フットワークが軽いなぁ。コロナ禍、仕事がリモートになって移住した人も目立つが、そういう人は仕事探しの必要すらない。五島はWi-Fi環境が悪くないうえ、ワーケーションの先進地でもある。ワーケーションでの来島者は、IT系の技術者が多いという。

 家と仕事ときたら、あと気になるのは子育て環境。保育園、幼稚園と待機児童はゼロ、小学校14、中学校11、高校4。県立五島高校は国公立大学進学率約6〜7割を誇る進学校。

 「現役で東大合格した子も。予備校はありませんが、1時限の前に希望する生徒が苦手教科を学ぶ0時限があり、さらにその前、6時に来て!という授業も。先生が熱心です」(藤井さん)

 「島の子は中学の時点で将来をしっかり考えていますね」と都さん。

 「島外に出るか島内に残るか? 大きな決断を18歳でしなきゃいけない。だから自然に自立心が培われるのだと思います」と藤井さんもうなずく。

 海はすぐそこ。自然を間近に感じてのびのび育ち、自力で将来を切り開くたくましい子に。親なら誰もが望む子育て環境がうらやましい。

 画面が観光サイト「五島の島たび」の絶景画像に切り替わった。「めっちゃきれい!」と言う強矢の歓声に、それぞれ遊び始めていた子どもたちも吸い寄せられる。

 「こんなにきれいな海でも、たいていプライベートビーチ状態ですよ」と都さん。

 時間はあっという間に過ぎ去った。まずは五島市へ行ってみたい気が満々になっている。

 「移住前に必ず一度は島に来て、自分の目で確かめてください。私は移住前に3回来ました。行政のサポートはせいぜい2割、いわばスタート地点。その先の8割は皆さん次第なのです」(藤井さん)

こども自然公園大会in鬼岳。「鬼岳は五島のシンボル。景観維持や害虫駆除のため、2年に一度山焼きが行われます。5月には凧揚げ大会も」(藤井さん)。

チャンココは、古くから伝わる念仏踊り。鉦と太鼓の音、歌声に合わせて舞うエキゾチックな踊りだ。

奇祭ヘトマト。「未婚女性を次々捕まえ、ワラで編んだ大草履に乗せます。その女性は翌年に結婚したり、子宝を授かったりします。祭りの名前の由来は不明です(笑)」(藤井さん)。

「産科は?」と強矢。「総合病院の五島中央病院と福江産婦人科があります。どちらも、お産のキャパは大丈夫」(藤井さん)。

 

五島市オンライン移住相談 申し込みから相談までの流れ

毎月第2木曜、第4土・日曜にオンライン相談日を設け、それ以外も月曜~金曜(10時~16時)であれば応相談。1回30分。最長50分まで延長OK。

①専用フォームから申し込み
五島市移住定住促進サイト「五島やけんよか!」にアクセス。「オンライン移住相談」ページにある申し込みバナーをクリック、相談希望日時などの必要事項を記入して送信する。約1カ月先まで予約可。

②Zoomのミーティングへの招待がメールで届く
返信メールをスタッフが確認、日程調整後に予約確定。

③当日、URLにアクセスして相談に参加!
移住支援員が相談に対応する。

相談に対応してくれるのは五島市移住支援員の皆さん
右から順に、2016年にイタリア・ローマから移住した藤井千絵さん、2006年に結婚を機に長崎市から移住した才津(さいつ)明日香さん、2018年に東京から移住した都 久美さんという3人の移住支援員と、6年間だけ五島を離れ、2002年にUターンした市役所職員の平野 梓さん。

コロナ禍で令和元年3月、相談会をオンラインに移行。昨年度、オンライン相談を経て実際に五島へ移住したのは12世帯! 今年度の移住者全体は10月末時点で152人と過去最多ペース。

 

【番外編】先輩移住者の移住支援員に聞く!
女性の目で見た五島移住&五島暮らし

ローマの寿司職人を経て、島暮らしに
➀ 移住支援員 藤井千絵さん

 鳥取出身で神戸に10年ほど住み、その後メキシコ、スペインに滞在。イタリア人と結婚した姉から「ベビーシッターに来て!」と請われたのを機にローマに12年ほど暮らし、後半は寿司職人として働きました。東日本大震災で帰国を決意。

 島に住みたい!とネットで検索し、好きだったさだまさしさんが長崎に島を持っていると知り、高浜海水浴場の絶景を見て、ここだ!と。1人暮らしですが姉家族がよく遊びに来るし、近所にも家族付き合いのような友達がたくさんいます。1人の時間を確保するのが難しいほどです(笑)。

 

Uターンの夫についてきて15年
②移住支援員 才津明日香さん

 出身地である長崎で夫と出会い、「五島に帰りたい」と言うので嫁いできました。夫はUターンですが、五島って帰りたがる人が多いんです。私自身はお義母さんとの顔合わせで初めて来て、結婚して2度目の訪問でもう移住。それから15 年、「困ったことは?」と聞かれるけど、ないんですよ。悪天候で船が出ず、物資が届かないことはありますが、あらかじめ数日分をキープしておけばいいので。

 中3で受験生の娘がいますが、保育園も学童も入所で困ったことはありません。移住者だからとママ友からはじかれることもないし、「制服譲ろうか?」と言ってもらったことも。娘は「図書館の司書になりたい。大学か短大に行く必要があるから、五島高校に行きたい」と自分でしっかり決めていたので、親は「わかった」と応援するだけです。

 

初来島から半年後には島民に
③移住支援員 都 久美さん

 移住前、全国の方と仕事をする機会があり、そのなかでも長崎県の方がフレンドリーで印象的でした。その県民性と食文化に魅了され、気づけば「長崎で暮らしたい」と思うように。都会で育ったので、もともと田舎での暮らしに憧れがありました。東京の「ふるさと回帰支援センター」で五島市を知り、下見がてら来島。すぐに自分がここで暮らしているイメージがつき、移住を決意。当時の五島市の移住支援員さんにはお世話になりましたが、家も仕事も自分で見つけました。

 移住は、現地の情報をどれだけキャッチできるか、すぐ行動に移せるか、ある程度資金に余裕があるかどうかが重要。あとは運と縁とタイミング。片道1時間の満員電車通勤から解放され、毎日きれいな海を眺めながらマイカー通勤を楽しんでいます。

 

五島市移住支援情報
子育て世帯への助成が充実!

市内企業への就職に向けた面接のための旅費の一部を助成する「面接旅費助成」(上限6万円)、「子育て世帯引越し補助」(上限15万円)、「結婚新生活支援事業」(1世帯当たり上限30万円、夫婦ともに29歳以下の場合は上限60 万円)、「東京圏からの移住者への支援」(2 人以上の世帯100万円、単身60万円)。それぞれ年齢制限などの条件あり。

地域協働課移住定住促進班
☎︎0959-76-3070
ui-turn@city.goto.nagasaki.jp

五島のキビナゴ。ウルメイワシ科で体長10㎝ほど。オススメはお刺身。醤油ベースの鍋料理「いりやき」も五島らしい食べ方。

ハコフグの味噌焼き。腹を丸く切って内臓を処理したあとで身を取り出し、味噌、酒、刻みネギと混ぜ合わせて腹に戻し、アルミホイルで包み焼きにする。

 

文/浅見祥子 写真/鈴木千佳 写真提供/長崎県五島市

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