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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

アスパラガス&ミニトマト/自然菜園で育てるキッチンガーデン【第24回】

掲載:2022年3月号

根に養分を蓄えて、毎春芽を出す多年草

春に出てくる新芽を折り取って食べるアスパラガス。根付けば10年ほどにわたって毎春、芽を出す多年草野菜です。株を長年保つには、水はけと日当たりのよい最適地を選び、土づくりをして植え付けます。収穫は1カ月ほどにして、その後は茎葉を茂らせ、根に翌年用の養分を充分に蓄えさせましょう。ミニトマトやニンニクなどのコンパニオンプランツで病虫害を避けます。

前年に蓄えた養分を使って春先に新芽を出すアスパラガス。赤茎アスパラガスは甘味が強くおいしいと最近人気の品種。

収穫後には翌年に向けて茎葉をしっかり茂らせる

 古代ギリシャやローマで栽培され、その後ヨーロッパ全域に拡大、江戸時代に観賞用として渡来し、食用の栽培は明治期に北海道で始まりました。穂先にアミノ酸類を多く含み、なかでもアスパラギン酸が体内のエネルギー代謝を活発にし、疲労回復を早めるといわれています。

 外見からは見分けにくいですが太いものが出て種を付ける雌株と、細いものが多く出る雄株とがあります。収量の重さで雄株が勝るため、近年はF1の全雄系品種が育成されています。

 地上部は冬に枯れますが、寒さに当たって春に芽を出す多年草。病気などがなければ10年ほど収穫でき、必要なら掘り起こして引っ越しもできます。

 栄養を蓄える太い貯蔵根があり、春の若芽は前年に蓄えた養分で生長します。栄養が充分に蓄えられるまで、定植後1〜2年は収穫を控えて株を養生してください。その後の年も、収穫して芽が細くなってきたら穫るのをやめ、葉を茂らせて翌年への養分を蓄えさせましょう。

品種選びのアドバイス

品種によって色や太さに特徴がある 初収穫まで期間の短い大苗も各種出回る

 さまざまな品種があり、種のほか、育苗されたポット苗、2~3年物の大苗も販売されています。

 

赤茎アスパラガス・サンタクロース(冒頭の写真参照)

 赤紫の茎で、加熱すると緑色になります。甘味が強くおいしいです。

 

メリーワシントン

 草勢が強く、耐病性で育てやすい固定種。

本数は少ないが太い茎が出る。

 

ウェルカム

F1品種。早生で草勢が強く多収です。

濃い緑の茎を多く出す。茎葉も秋までよく茂り、育てやすい。

 

アスパラガスの主なコンパニオンプランツ

長年収穫を続けるために、混植で病虫害やネズミの害を避ける

 

ミニトマト

効果

アスパラガスを食害するハムシを避ける。アスパラガスはトマトのセンチュウ被害を抑える。

栽培のポイント

マイクロトマトやマッツワイルドチェリーなど、小さい実をたくさん付ける野性的な品種を選んで、無整枝の放任で栽培する。

収穫のポイント

赤くなったら次々に穫る。穫らずに置くと、実がなかなか赤くならない。

繁茂するアスパラガスの茎葉の間で負けず勝たずで育てる。

 

ニンニク

効果

根の深いところで共存し、アスパラガスに寄るネズミや虫を避け、病気を予防し、お互いの生育がよくなる。

栽培のポイント

アスパラガスの根の周辺に点在させるように植える。

収穫のポイント

とう立ちした先をニンニクの芽として摘み収穫。茎の3分の1が枯れたら玉を収穫する。

晴天が3日間続いたときに収穫すると玉の水分が抜けて長く保存できる。穫ったらその場でしばらく天日に干す。

 

イタリアンパセリ

効果

乾燥を防ぎ、お互いにやわらかく育つ。

栽培のポイント

半日陰になる株間に育てる。過湿に弱いので、水はけのよい高畝に。

収穫のポイント

外側の茎葉を順次摘み取る。

真夏の暑さを嫌うので、アスパラガスの葉陰でよく育つ。

 

ニラ

効果

根の浅いところで共存し、アスパラガスの病気を予防する。

栽培のポイント

一度根付けば毎年穫れるが、年々細くなるので、2~3年に1度、株ごと掘り上げて3本ずつに分けて植え替えると、太いニラが穫れる。

収穫のポイント

下5cmを残して刈り収穫。花を咲かせると株が弱るため、花芽が付く前に刈る。

年に3~5回刈り取れる。

 

アスパラガス&コンパニオンプランツの配置例

株間を広くとり、混植は地下茎が伸びる外側に

 アスパラガスの株間は広めに1mほどとると混植しやすく病虫害が出にくい。ニラとパセリはアスパラガスの地下茎が伸びる範囲の外側の株間に植える。ニンニクは日当たりのよい側の畝肩に、前年の秋に植えておく。5月下旬にはミニトマトを植え付ける。

アスパラガスの地下茎
一方向に地下茎を伸ばし、春には新たに育った地下茎から、太い貯蔵根に前年に蓄えた養分を使って新芽を出す。

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)など。2018~19年の本誌連載をまとめた新刊『自然菜園で育てる健康野菜』(宝島社)が好評発売中。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

 

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