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田舎暮らしの本 10月号

9月2日(金)
850円(税込)

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福島県から沖縄県へ! 南国の太陽と海、温かな島の人に囲まれた暮らし【沖縄県伊江村】

福島県いわき市から沖縄県の離島・伊江島へ移住した志賀さん夫妻。何度か訪れたとはいえ、準備万端とはいえない離島への移住だった。そんな大きな決断をした2人に、島での暮らしや生活の変化などを伺った。

掲載:2022年4月号

借りている元寿司屋の店舗物件の前で、志賀さん夫妻と愛猫ひでおくん。厨房はキッチンに、お座敷は居間にして暮らしている。風呂がなかったため、大家さんがシャワーだけを付けてくれた。

沖縄県伊江村(いえそん)
沖縄本島北部の本部(もとぶ)半島の北西約9kmに位置し、伊江島からなる一島一村の村。北海岸は断崖絶壁が連なり、南海岸はほとんどが砂浜。やや東寄りの中央に、「伊江島タッチュー」の愛称で親しまれる城山(ぐすくやま)がそびえる。主幹産業は農業、漁業で、農業ではサトウキビ、葉タバコなどが盛ん。平均気温は24.2℃。本部港からフェリーで30分。

 

本島へは船で30分。不便さを感じない離島

「地元以外の土地で暮らしてみたいなぁと3年ばかり日本各地を旅した末、『おきなわ島ぐらし』のサイトで見つけたのがこの島だったんです。実際に初めて伊江島を訪れたとき、『よそに行っても変わらないよね、ここでいいんじゃない!』って、ほとんど勢いで決めてしまった感じですね。僕にとっては45年間生きてきて初めての引っ越しが沖縄の離島になったんですが、人生なんだか面白いなぁって楽しんでいますよ」

 そう語るのは志賀由樹(しがよしき)さん(45歳)。妻の由美子(ゆみこ)さん(39歳)と愛猫のひでおくんと一緒に、2021年5月に福島県いわき市から沖縄本島の北部にある離島・伊江島に移住した。

 地方都市から離島へ。生活における変化も大きかったのではないかと思うが、もともと静かで暖かいところに住んでみたかったという2人。移住してまだ1年も経っていないがすっかり島の生活になじんでいる様子だ。

 離島といっても通常1日に4便ある船で片道30分と、沖縄本島へのアクセスは容易だ。

「島では静かに暮らし、たまにファストフードを食べたいなぁ、にぎやかなところで遊びたいなぁなんてときは本島へ渡ればいいわけです。大きな商業施設もあるし観光県なのでオシャレな飲食店などもいっぱい。不便なこともなく満足しています」

 田舎と街の両方を気軽にバランスよく楽しめるといった点はこの島の移住を決めるにあたり大きなポイントとなったようだ。

 初めて伊江島を訪れた際に「ここに住むぞ!」と決めた志賀さんたちだが、住まいもたまたますぐに見つかった。このとき宿泊していた民宿の女将さんに「住む家がなかなか見つからないんですよ」と話すとその場であたってくれ、元は寿司店という空き物件を紹介してくれたのだ。

 住居ではなく、店舗の間取りに「これって住めるの〜⁉」と少々不安になったが、立地はよく、島の中心地。病院も役所も商店も近いので、住みはじめてみればとても暮らしやすく、ご近所さんたちとの付き合いも自然と広がっていった。

「島の人たちが本当によくしてくれるんですよ」と由樹さん。

「野菜をいただいたり、作業の後や誰かの誕生日、お祝い事、クリスマスに正月……と、何かあれば『乾杯しましょう!』と呼んでくれます。多いときは週3くらいでちょっと大変ですけどね(笑)。もともと飲むほうではないけれど、初めが大事と断らないでいます。やったことはないんですが、お隣さんからは釣りにも誘われているので今度行ってみようかなって」

 ちなみに下見や住まい探しのための交通費に滞在費、仕事を辞めた後の生活費も含め、移住にかかった費用は全部で100万円くらいという。もともとモノはなるべく持たないような生活を心がけているそうだが、家具や家電などの大きなものは現地調達にすることで、引っ越し代は抑えたそう。

 

昼夜逆転生活から、太陽の下で畑仕事

 移住後、由樹さんが初めて得た仕事は島の主力産業である葉タバコ栽培の手伝いであった。

「農作業をしてみたいという気持ちを伝えると、役場の担当の方が紹介してくれました」

 福島時代の前職は長距離トラックの運転手。

「夜中に起きて出社。福島から関東や岩手まで荷物を運んでいました。それが島では朝8時から太陽の下で青い海を見ながら働いている……。ああ、いいなぁ、幸せだなぁ〜〜!! って」

 由美子さんは親しくなった農家さんの紹介を受け、島のサトウキビを使ってつくるラム酒の蒸留所で事務と販売を担当することになった。

「もともと販売業をしていたのでとても楽しくやっています」と話す。

 由樹さんは、農作業の仕事をいくつかつないでいる。

「葉タバコ作業の時期は3カ月くらいで終わってしまうんです。その後もサトウキビ畑の作業に誘ってもらって仕事をつないだりといった感じです。会社勤めではないので昨年はまるまるひと月仕事がないときもあり安定しているとはいえませんが、妻の収入と合わせ、うまくやっています」

 具体的な金額は書かないが、由樹さんの島での収入は運転手のころよりもずっと少ないはずだ。だが、表情は明るい。そこには今の伊江島暮らしの充実感が伺えた。

楽しそうに農作業をする由樹さん(写真右)。葉タバコの植え付けをしている。

伊江島産サトウキビだけを使ったラム酒「Ie Rum Santa Maria(イエラム サンタマリア)」をつくっている㈱伊江島物産センターで働く由美子さん。

人に、自然に感謝! 島暮らしは毎日が新鮮

 移住前の島の案内から移住後もサポートしているのが、伊江村総務課の人たちだ。移住コーディネーターの柴田さんは、「志賀さんご夫妻は、島の方たちと仲よくされているので安心して見守っています」と話してくれた。

 インタビュー時にも感じたが東北なまりが何ともやわらかで人なつこさを感じる2人には、島の人たちもついつい引き寄せられてしまうに違いない。

 由樹さんは「つながりでやれています。でも自分でつなげていかないと難しい」とも話す。

「まだわかっていないことも多いと思うんですが、島の生活は毎日が新鮮で楽しいです。働いていても、飲んでいても、海を見ても、空を見ても、感謝、感謝。いろんなことにありがとう!って気持ちになりますね」

 ほっこりと、でも熱く語る由樹さんと、その様子をクールなようでいて温かく見つめる由美子さん。自然体で緩やかに島暮らしを楽しまれている2人の雰囲気に、なんだか記者も「乾杯しましょう」と伊江島を訪れたくなってしまった。

 

移住担当者がお答えします! 伊江村への移住6つのギモン

沖縄、特に島への移住はなかなかハードルが高い。素朴なギモン6つを伊江村の移住担当者に聞いてみた。

【お答えいただいた方】伊江村総務課の山城さん(右)、移住コーディネーターの柴田さん。

ギモン❶ どうやって移住したらいいですか?

まずは実際に訪れて、島の様子や環境などをじかに感じてほしいです。ただ、その前に個別のオンライン相談や、オンライン相談会・ツアーがありますので、情報収集にご活用ください。移住相談窓口でも対応しています。

ギモン❷ 伊江村に家はありますか?

民間のアパートや村営住宅などがありますが、満室の状況が続いています。島の方とのコネクションがないとすぐに住むところを探すのは難しいと思います。役場でも家を探すお手伝いは全力でいたしますが、余裕をもって移住を計画していただくことをおすすめします。

ギモン❸ 仕事はありますか?

役場ホームページの移住ページ(左上の二次元コードよりアクセス)に求人情報を掲載しています。ほかにも随時情報があればお伝えしますので移住相談窓口にお問い合わせください。職種はあまり多くはなく、基幹産業である農業、そのほか畜産業、介護職、建築関係などが主になります。

ギモン❹ 先輩移住者はいますか?

います。移住コーディネーターの私(柴田)も移住者です。参考までに役場ホームページの移住ページの「伊江島ぐらしmovie」をご覧ください。

ギモン❺ なるべく早く移住したいのですが……。

離島は生活環境や風土が大きく違いますので、いきなり離島への移住はおすすめできません。沖縄本島へ移住し、その後離島へという2段階移住も考えてみてください。今回ご紹介した志賀さんご夫妻のように、ダイレクトに島に移住する場合は、移住の前にできるかぎり来島して島の方と知り合いになり、島の雰囲気を感じて自分と合うかを判断してから移住することをおすすめします。

ギモン❻ 病院はありますか?

島には診療所があり一般診療を行っています。また救急患者については24時間体制で対応をしています。 救急患者を診療所の判断で沖縄本島に搬送し治療する場合は、救急患者搬送船やドクターヘリ、MESHが稼働しています。そのほか、同じ施設内に歯科医院、近くに透析センターがあります。

伊江村移住支援情報
子育て支援金は最大100万円高校卒業まで医療費無料

 沖縄の離島のなかでもフェリーで片道30分と便利な伊江島。令和2年度より移住コーディネーターを設置し、移住定住のワンストップ相談に対応している。また、長期滞在お試し移住体験プログラムもある。最大100万円の子育て支援金、高校卒業まで医療費無料、児童手当は中学校卒業までと、子育て支援が手厚い。

伊江村総務課 ☎0980-49-2001 ※オンラインの個別相談もあり。
https://www.iejima.org/category/bunya/iju/

公式のInstagramYouTubeで情報収集を。

本島の「美ら海水族館」から見える伊江島。

移住検討者の来島時にアテンドしている様子。

「リアルな島の暮らし、仕事、住居などご相談ください。まずは一度、島へおいでください」(伊江村総務課の山城さん〈左〉、移住コーディネーターの柴田さん)

 

文・イラスト/時川真一 写真提供/伊江村総務課

 

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