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田舎暮らしの本 7月号

6月3日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

海とミカンの集落で交流人口が増加中。コワーキングスペース、シェアキッチンも【三重県南伊勢町】

伊勢神宮のある伊勢市や高級リゾートとして知られる志摩市に隣接しながら、知名度はまだまだ低い南伊勢町。人口減少率も高齢化率も三重県内でトップクラスだからこそ「このまちのために何かしたい」と立ち上がる人が多く、チャレンジ精神が旺盛な新たな移住者を呼び込むことにもつながっている。

掲載:2022年6月号

三重県南伊勢町(みなみいせちょう)
「お伊勢さんの南玄関」こと南伊勢町は、熊野灘に面してリアス海岸が広がり、町域の約6割が伊勢志摩国立公園に指定。特産品は養殖マダイやミカンなど。高速道路を利用して名古屋市内から車で約2時間、大阪市内から約3時間。

 

移住者を中心にチャレンジしたい人が多い

南伊勢町 移住者の交流拠点➀/うみべのいえキッチン
海に臨む五ヶ所元町エリア全体を住民みんなの「家」ととらえ、空き家などを活用して部屋」に見立てた施設をつくる構想が「うみべのいえプロジェクト」。その第1弾として2021年夏にシェアキッチン「うみべのいえキッチン」が誕生した。現在は町内外の約20事業者が不定期で出店。https://umibenoie.webnode.jp

 目の前に五ヶ所湾が広がり、山の斜面をミカン畑が彩る南伊勢町の内瀬(ないぜ)集落。国道沿いの小高い敷地にコワーキングスペース「しごとば油屋Ⅱ」の建物がたたずむ。運営は、京都市から松阪市を経て2007年にUターンした西川百栄さん(47歳)。地域おこし協力隊2人と出会い、「気軽に仕事などで使える場をつくろう」と意気投合した。その活動グループとして「むすび目Co-working」を立ち上げ、代表を務めている。

 「そのころ移住定住コーディネーターに就き、移住関係の拠点も兼ねることになりました」

 こうして19年から本格的に稼働。利用料の安さや眺望のよさも好評で、コロナ禍の今も町内外から月平均30〜40人が利用しているという。

 地域での交流という意味では、昨年誕生したシェアキッチン「うみべのいえキッチン」も大きく貢献している。オーナーは18年に名古屋市から移住し、コワーキングスペース設立メンバーでもある西岡奈保子さん(34歳)。経緯についてこう話す。

 「元町エリアを盛り上げる取り組みとして、人が集まりやすい食からスタート。移住者さんを中心にチャレンジしたいという人が思いのほか多く、驚きました。町内外の人たちがつながる場にもなっています」

 これら2つの拠点を軸に、交流人口が着実に増加。「手つかずの自然と人の暮らしが絶妙に調和した、南伊勢町の魅力にふれるきっかけになれば」と、西川さんは期待している。

“まちの台所”がコンセプトの「うみべのいえキッチン」。町内外の人が集う交流拠点になっている。

この日は地域おこし協力隊の丸尾さんが「旅するマルコの台所」を出店し、地元産の野菜や米を使ったスパイスカレーを提供。

移住者の中原さんは丸尾さんがカレー店を出すときに間借りし、「漢方茶サンマル」としてオリジナルの漢方茶を販売。

南伊勢町 移住者の交流拠点②/しごとば油屋Ⅱ
美しい入り江の風景を望むコワーキングスペース。利用は平日9時~18時(要予約)で1日500円。無料。Wi-Fiやプリンター(有料)などを完備。秋~冬には隣の農園で気分転換に利用できるミカン狩りプランも。移住・定住相談や空き家バンク物件紹介の拠点も兼ねる。建物は地元ミカン農家の別荘だったロッジ風の空き家を借りた。https://kii3.com/musubime

木の温もりに包まれるコワーキングスペース。海を見晴らすカウンター席などの造作部分は、移住者でもある家具職人に依頼した。

「住んでよかった」「来てもらってよかった」とみんなに思ってもらうことが一番。私たちはその結び目となる、つなぎ役です。
(西川百栄さん)

 

【南伊勢町】わたしの移住物語➀

山田便利店&よろず屋「山田商店」/山田史也さん●38歳
店舗奥にチャレンジショップとして使える飲食店も整備中。Instagram:@yamada_benriten

地域の問題解消に役立つなんでも屋として活躍

 北海道出身。2019年に移住。「海・山・川もおいしい食材も揃い、隣の伊勢市には総合病院も。とてもバランスがいいすてきな田舎だと思いました」。当初は就農を考えていたが、「まちの人たちに喜ばれることを仕事にしよう」と便利屋を創業。空き家から出た不用品を活かすショップも開き、空き家問題・ゴミ問題の解消に努めている。 

旧薬局を活用したリサイクルショップ。親しみやすいよう内装はあえて懐かしい雰囲気を残した。

幼い息子のことも考えて無農薬でミカンや米を栽培。自家消費が基本で余ったものを販売。

 

【南伊勢町】わたしの移住物語②

丸尾航平さん●35歳
Instagram:@marucokayaks

協力隊として働きながらスパイス料理の出店を目指す

 神奈川県出身。自転車で日本を縦断し、世界一周の旅をして2019年、南伊勢町へ。地域おこし協力隊としてシーカヤックスクールで活動しながら、ネギ栽培に携わり、スパイスカレーで「うみべのいえキッチン」に月1回出店。「この場所のおかげで飲食店を始める道筋が見えてきました」。物件が見つかり次第スパイス料理店を開く計画だ。  

 

【南伊勢町】わたしの移住物語③

中原未生さん●44歳
Instagram:@kanpoyojo_30sanmaru

趣味を生かした漢方茶でまちの人の健康づくりに貢献

 美しい海と山にひかれ、「むすび目Co-working」のサポートを受けて2021年に茨城県から移住。整体師の経験を活かして隣まちで働く傍ら「漢方茶30サンマル」として「うみべのいえキッチン」やイベントに出店。「漢方茶は趣味だったのですが、丸尾さんに誘われて販売するように。今後は地元の無農薬野菜や果物を活用していければ」。

 

【南伊勢町】移住支援情報
出産祝金の拡充をはじめ子育て世代を幅広く応援

 海と山が彩る豊かな自然のなかでのびのびと過ごせる南伊勢町では、「子育て応援日本一」を目標に掲げて多様な子育て支援策を整えている。従来の全園児完全無償化、保育園4〜5歳児への英語教室、18歳までの子ども医療費助成制度のほか、今年度からは出産祝金を第1子・第2子は20万円、第3子以降は30万円へ拡充した。

まちづくり推進課 ☎︎0599-66-1366
https://www.town.minamiise.lg.jp/iju

町域の約6割が伊勢志摩国立公園に指定され、海と山が調和した美しい風景が自慢。

農業とともに漁業も盛んな南伊勢町。希望すれば漁業体験などもできる。

 

文/笹木博幸 写真/松原 豊

 

 

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