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田舎暮らしの本 10月号

9月2日(金)
850円(税込)

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玄関づくり-刻み【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【42】

今回から番外編。突然「玄関をつくる!」と言いだした和田に一同あぜん。家が完成してから玄関をつくるって、どうなってんの!?

掲載:2019年11月号

身ぶり手ぶりを交えて下屋の構想を妻に説明する和田。思いは伝わったか?

和田・妻の希望で今さら玄関をつくることに

和田「というわけで玄関つくることにしたから!」
一同「なんだよ、いきなり」
阪口「あれだけ『玄関なんて必要ない!』って豪語していたのに」
中山「そしてそれに同調してやったのに」
和田「まあ、玄関というか靴置き場が必要なんだよね。今は、ウッドデッキにつながる掃き出し窓から出入りしているんだけど、雨が降ると靴が濡れちゃうんだよ」
阪口「じゃあ靴箱でいいじゃん」
和田「ぐ……。だから私は玄関なんて必要ないと思うんだけど!」
水野「要するに奥さんに押し切られたわけね」
中山「オマエ……、もしかして恐妻家?」
和田「そ、そんなことないから!」
阪口「それにしても家ができてから玄関つくるって、どう考えてもおかしいと思わね?」
中山「ああ。どう考えてもおかしい」
和田「いいの! どうせ下屋は増築しようと思っていたから!」

掃き出し窓に乱雑に脱ぎ捨ててある靴は、雨が降るとビショ濡れになってしまうんだとか。

珍しくパソコンで清書した平面図と立面図。問題はそれが正しいのかどうかだが……。

 和田が必死に説明するところによれば、もともとキッチンスペースに通じる掃き出し窓に下屋を増築するつもりだったらしいのだ。とりあえず和田が取り出した図面を見てみよう。
阪口「へええ。ちゃんと清書したんだ」
水野「どこかの誰かさんとは大違い」
中山「なにそれ、オレのこと?」
一同「オマエしかいないだろ!」
阪口「しかし4坪(8畳間)ってけっこうデカイな」
水野「玄関っていうより普通の部屋だよね」
和田「だから、玄関というより、物置や作業場も兼ねるユーティリティースペースなの!」
水野「意地でも玄関って認めたくないわけね」
中山「注意書きに『床面と土台面を揃える』って書いてあるけど、そうすると母屋よりずいぶん床が低くなるんじゃないの?」
阪口「段差すごくね?」
水野「全然バリアフリーじゃないし」
和田「床はウッドデッキ風の土間にするから、部屋より下がっていたほうがいいの」
中山「この『草屋根』ってなに?」
阪口「……ジブリか?」
和田「いや、単に面白そうかなと思って。その辺の土を載せておけば材料費もかからないし」
水野「そんな、つくり方でいいの?」
中山「根本的な質問なんですが、ここまで大きな玄関にすると、庭に車の出入りができないのでは?」
和田「大丈夫! ぎりぎり通れるはず。ダメだったらそのとき考えるよ」
阪口「ホントに後先考えないヤツだなコイツは」
水野「ここの庭先も、最初に来たときとずいぶん変わったよね。何回模様替えしたの?」
和田「3~4回かなぁ。外水道も、焚き火場も、ピザ窯も全部つくり直したよ」
中山「やっぱり思いつきで作業しているとしか思えない」
和田「そうそれ! 思いつきが大事! 思い立ったらすぐやるのがDIYの極意だよね!」
一同「そういうのを無計画っていうの!」

DIY歴11年にあるまじき、お粗末な鎌継ぎの墨線

 というわけで無計画施主のワガママで玄関をつくることになったわけであった。
 資材はもちろん廃材だ。敷地の裏にうち捨ててあった腐りかけの巨大な丸太を運び出してきてウマ(作業台)に載せる。材木はすでに墨付けしてあるらしい。なんかいろいろ書いてあるが、相変わらず自分だけにしかわからない暗号のようなものだ。
和田「暗号じゃないってば! 土台に柱を差し込む切り欠きを入れるという意味なの!」
阪口「はあ? なんでそんな面倒なことすんの?」
和田「柱の太さがバラバラだから、一番細い材に合わせて切り欠きで調整してるんだよね」
中山「切り欠きに水がたまって腐ったりしないのかな」
和田「大丈夫大丈夫!」

軒下で腐っていた1本モノの丸太を運び出す。3分の1は切り捨てることに。

墨付けのついでにいろいろとメモが書き付けてある。

土台のホゾ穴に切り欠きを入れて柱を差し込みたいという謎のリクエストに応えてトリマーを操作する阪口。

トリマーで切り欠く部分に溝を掘り、あとは手ノミできれいに仕上げる。

和田「それより中山さんは鎌継(かまつぎ)つくって!」
 仕方ない。久しぶりに刻み作業でもやるかと、丸ノコなどを準備する。材木を前にしたところであぜんとする中山である。
中山「……ねえ、これさ、この墨線通りつくったら、絶対割れると思うんだけど」
阪口・水野「どれどれ? ……って、なにこれ!?」
 75㎜角材(細!)に対して鎌がでかすぎて、継ぎの役目を果たしてないじゃないか!
水野「ていうかアタシですら弱いってわかるよ」
阪口「この11年間で、一体なにを学んできたのかと」
和田「そこまで言う!?」
 今年でDIY歴11年に達する人力社である。にもかかわらず、このお粗末な継ぎ手はなんなのか……。誌面に出すのもお恥ずかしい限りだが、面白いので載せちゃおう。
中山「それに比べて、この箱継(はこつぎ)の妙技を見てみなさいよ」
 それは和田がタダで仕入れた廃材の1つに施されていた継ぎ手であった。「箱継ぎ」は腐朽した柱を切り落として付け替えるときに用いられる継ぎ手で、表からは継ぎの細工が見えないように工夫されているのだ。
中山「まさに大工のかがみみたいな仕事ですな(惚れ惚れ)」

手ノミがまったく切れないので研いでやった。

久しぶりの刻み作業。3人でやると早い早い。

鎌がでかすぎて、メス側が間違いなく割れてしまう。

中山が、和田の墨線を補正。ひとまわり小さい鎌にして、無事に仕上がった。

「箱継ぎ」が施された古材。中央の穴に込み栓を入れるとガッチリ固定されるという匠の技。

和田「……まあホラ! こんなのフツーはつくらないしさ! それにチェーンソーは上達したからね!」
阪口「確かにチェーンソーに関しては相当な腕前なのは認める」
水野「ホゾ穴もチェーンソーで開けちゃうんだから、たいしたもんだよね」
和田「おっほっほ! ……(ドカッ)」(←調子に乗った和田が手ノミに打ち込んだはずの鉄槌で自分の親指を叩き潰した音)
和田「ぎゃあああああ!」
水野「うわー……。痛そう」
阪口「今のはヤバイだろ」
中山「あーっ! 泣いてる!(笑)」
 あまりの激痛にもだえ苦しむ和田の目には、なんと涙が浮かんでいるではないか。失笑する一同を尻目に保冷剤で患部を冷やす和田であった。
阪口「まじめな話、病院行ったほうがいいんじゃないの?」
水野「吐き気がするようなら骨折してるかもよ」
和田「……アイス食ったら治るかも」
一同「ふ・ざ・け・ん・な!」
 次号、早速、棟上げに突入だ!

チェーンソーでホゾ穴を開ける。手慣れたものだ。

手ノミを使う和田であったが、この直後、悲劇が彼を襲う。

保冷剤で冷やす。骨は折れてなかったが、病院嫌いの和田は結局、自力で治したらしい。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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