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田舎暮らしの本 10月号

9月3日(金)
850円(税込)

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リモートワークにも使える、菜園付き滞在施設「クラインガルテン」が今話題!

ドイツ発祥の農地賃借制度である「クラインガルテン」。日本でも滞在型の市民農園として人気を集めています。ラウベと呼ばれる1棟貸しの宿泊施設を拠点に、家庭菜園やガーデニングを楽しむことができ、田舎暮らしの第一歩として活用する人もいるようです。山梨県西部、南アルプス市の「南アルプスクラインガルテン」を訪ね、2組の利用者にお話しをうかがってきました。

南アルプスクラインガルテンは約500㎡の区画を利用できるクラインガルテンで、中野と湯沢の2つのエリアがあります(写真は湯沢エリア)。冬も氷点下になるのは早朝くらいと温暖で、首都圏から通える近さも魅力です。

 

コロナで在宅仕事が増加、初めて趣味を見つけた!

 

2020年4月から利用している中野俊宏さん(44歳)は、コロナ禍がきっかけだったそう。

「もともと妻が田舎暮らしを希望していて、私もいずれはと思っていましたが、仕事で全国への出張もあり、物理的にも不可能でした。でもコロナの影響で在宅の仕事が中心になったんです」

 

法人・個人向けのコンサルティング人材育成研修を行う会社を経営している中野さん。一家3人で、東京都世田谷区から車で毎週末に通っています。

山梨は自宅から車で1時間30分程度と近く、見学に行くと1軒だけ新築のラウベに空きがあったのも魅力だったそう。菜園スペースも広かったため、即決し、4月から利用を開始しました。

 

滞在施設であるラウベには、約15.5畳の洋室のほか、キッチンや風呂、トイレと大きめのクローゼットが完備。土間と農機具置き場もあります。リモートで仕事をするにも充分なスペースです。

 

「野菜づくりを始めてみると、妻も驚くほどはまってしまいました。野菜づくりなどを指導してくださるお世話役の地元農家さんや周りの利用者さんに教えてもらったり、動画サイトを見たりしながらやっていますが、ニンジンが発芽しないなど、失敗もたくさん。試行錯誤するのも楽しくて、初めて趣味と言えるものを見つけることができました」

 

菜園ではハーブも栽培。地元農家の上田さん(右)の勉強会でハーブを使ったせっけんや虫よけのつくり方を教わっています。

 

利用を開始してからは、毎週末、金曜の夜に車でやって来て、日曜の夜か月曜の朝に帰るスタイルで楽しんでいるそう。

「すぐに動ける場所としてクラインガルテンを選びましたが、最長5年という決まりがあるので、将来は別荘などを購入したいですね。ただ、妻はここで子育てしたいようなので、ゆっくり考えていこうと思います。そういう意味でも、移住のステップとしては最適の環境です」

 

リタイア後は1人でのんびり菜園生活 

 

定年退職後に利用を開始し、今年で5年目を迎える前野等さん(73歳)は、東京都板橋区の自宅に住む奥様と、すでに独立した2人のお子さんがいますが、ほぼ1人で利用しているそうです。

 

2020年3月からは生活のほとんどをクラインガルテンで過ごしているとか。

 

「妻は田舎より都会派なのですが、私は土いじりが大好きで、サラリーマンとして働いていたころから月数千円の区民農園を借りて、野菜づくりをしていました。リタイアしてから、本格的に菜園ができる場所として、ここを選びました」

 

前野さんの菜園は、害虫よけのハウスも含む本格的なもの。訪れたときはチンゲンサイやターサイ、ダイコンやタマネギなどの冬野菜を栽培していました。

 

以前は東京で木遣りと詩吟を習っていたため、定期的に自宅へ帰っていたそうですが、2020年に入ってからはコロナ禍の影響もあって、ほとんどをクラインガルテンで過ごしているとか。

「ここから車で15分ほどの場所に無料駐車場付きのバス停があって、割引切符を使えば平日は新宿まで往復で3300円。片道に換算すると1650円で、所要時間も2時間強なんです。こちらに車を置いていないとできないですが、金額的にも時間的にも、東京へ戻るのが苦にならないのはいいですね」

 

クラインガルテンにいるときはほぼ1人暮らしの前野さん。定住するには車は不可欠ですが、ラウベには1人で暮らすための充分な設備が整っています。

「キッチンや風呂など、生活するにはまったく不便はありません。また、冬は寒いイメージのある山梨ですが、意外に暖かいんです。ラウベは気密性が高く、断熱性にも優れているため、冬もエアコンをかければ充分で、ストーブなどは必要ありません。さすがに朝方は氷点下になりますが、水道管が凍るようなことも滅多にありません」

 

充実した日々を送る前野さんですが、今年で利用期間の上限の5年目。来年度からはお世話農家の依田さんの紹介で、近隣の家を借りる計画を立てているそうです。

「他の利用者さんとも交流はありますが、地元の方とかかわる機会のほうが多いですね。農家さんから指導を受けられますし、農協の人による講習会も年4回開催されています。車が運転できる間は、この地域で農業を楽しむ生活を送りたいと思います」

 

お世話になっている地元農家の依田さん(右)とは大の仲よし。栽培に関するアドバイスも受けています。

 

クラインガルテンってどんな施設? 費用はどれくらいかかるの?

 

セカンドハウス感覚で広い菜園と快適な滞在施設が借りられるクラインガルテン。利用の条件、注意事項は施設によって異なりますが、ここでは南アルプスクラインガルテンの場合をご紹介します。クラインガルテンの運営を行っているNPO法人「田舎ぐらしの郷南アルプス」の新津さんに伺いました。

南アルプスクラインガルテンでは地元農家による野菜づくりの指導や、開園祭、収穫祭などのイベントを開催していて、利用者同士のサークル活動も盛んです(写真は中野エリア)。

――利用可能期間はいつまでですか?

「滞在型は4月41日~翌年3月31日までが契約期間です。1年ごとの更新で、最長は15年まで。滞在施設のない日帰り型は随時受け付け中です。途中退去されたい場合も、入会金や年会費の返金はできません」

 

――冬季も利用可能ですか?

「一年中ご利用いただけます。雪はほとんど降りませんし、日中は氷点下になることもほとんどありません」

 

――ペットを連れて行けますか?

「南アルプスクラインガルテンではペットの飼育や同伴はできません」

 

――庭でDIYをしてもいいですか?

「可能ですが、ラウベに手を加えたり、退去時に撤去して元の状態に復元できないようなものはお断りしています」

 

――友人を宿泊させてもいいですか?

「ご家族もご友人も、泊まっていただいて構いません。ただし、友人同士でシェアすることはお断りしています」

 

――ネットやテレビは見られますか?

「インターネットはご自身で契約していただければ、光回線を引くことは可能です。テレビは、山梨県では民放が2局しか映らないため、ケーブルテレビを引くことが一般的ですが、初期費用が約10万円かかるので、利用している方は少数派です」

 

――菜園用の農機具などは用意がありますか?

「 基本的には自分でそろえていただきますが、クワやカマ、スコップや一輪車など無料で貸し出せるものもあります」

 

耕運機(半日1000円)や草刈り機(同500円)など、有料で貸し出ししている農機具もあります。

 

また、クラインガルテンの利用にはどのくらいの費用がかかるのかも気になるところです。南アルプスクラインガルテンの場合、利用料は500㎡ほどの区画にラウベ1棟がついて年間41万1420円(税別、前期・後期に分けて納付)。さらに初期費用として41万1420円が必要です(初年度のみ。最長5年まで更新可)。そのほかにかかる費用も含め、1カ月に必要な費用を前述の中野さんに教えていただきました。

 

1カ月のクラインガルテンの利用に必要な費用(中野さんの場合)

会費(利用料)…3万4285円

水道代…約1500円

電気代…約8000円

高速代…2万3280円(2910円×8回)

ガソリン代…8000円(約2000円×4回)

ブルーベリーの木の賃借費…83円

ハーブ勉強会参加費…2000円

※月額換算

合計 … 月 約7万7148円(初期費用は含まず)

ちなみに、ラウベはオール電化のためガス代はかかりません。また、中野さんの場合、ネットは仕事でも使用するポケットWi-Fiを使用しているそうです。

庭付きの別荘を購入することを考えれば、かなりお得に利用できると言えるのではないでしょうか。

 

気軽に、そしてお得に始められる菜園生活、あなたもトライしてみませんか?

山梨県南アルプス市 南アルプスクラインガルテン

  • 所在地/中野エリア:山梨県南アルプス市中野2034、湯沢エリア:山梨県南アルプス市湯沢2580 
  • 区画数/滞在型37区画、日帰り型20区画 ●利用期間/4月~翌3月
  • 更新/1年(最長5年) ●交通アクセス/身延線市川大門駅より約9km

問い合わせ/南アルプス市農政課 ☎055-282-6207

http://minami-alps-klein.jp

文/渡瀬基樹 写真/冨田寿一郎

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