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田舎暮らしの本 11月号

10月1日(金)
850円(税込)

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20年住めば土地や家屋が無償!? 茨城県境町の子育て支援がスゴイ!

2021年4月号掲載

かつて利根川水運の河岸として栄えた茨城県境町が人口減少対策として取り組むのは、子育てと教育への徹底した支援。子育て世帯の住居費に対する手厚い補助をはじめ、小学校6年生が全員英検3級合格を目指す町立校での先進英語教育など、多彩な施策で移住者を増やす。

境町は茨城県西部、利根川沿いに位置する。人口約2万4000人、年平均気温14.5℃。東武伊勢崎線東武動物公園駅よりバスで約40分、成田空港より高速バスで約1時間20分(往復16便/日)。川口JCTより東北自動車道~圏央道境古河ICへ車で約30分(約45km)。

新築に入居して暮らしに余裕

澤田彬さん(31歳)・麗奈さん(29歳)ファミリーが境町に移住したのは昨年4月。

「子育て支援センターの遊具が増えたり、ニコニコパークの屋外の遊び場に屋根が付いたり。今、まちの子育て環境はどんどんよくなっています。いいタイミングで移住しました」

昨年は新型コロナウイルス感染症関連の支援として、町から子ども1人当たり5000円の臨時給付金の支給や米5㎏の配布もあった。

隣市の会社に勤める彬さんは言う。「同僚からは『境町は恵まれてるな』と言われます。前に住んでいたまちも、子育て日本一を目指すとうたっていましたが、実感はありませんでした。ここはそれが目に見えてわかるのがいいですね」

そして澤田さん家族が最大の恩恵を受けているのが住宅支援。入居する新築戸建て4LDKの「子育て世帯移住定住促進住宅」は町営で移住者対象。家賃は月額5万2000円と優遇され、しかも20年住み続けると土地と建物が無償譲渡となる。

「住宅ローンで新居を建てるのと比べると、利息や固定資産税もかかりません。住まいに必要な支出はトータルすると半分で済むでしょう。そのぶん家族が余裕を持って暮らせます。ありがたいですよ」

戸建ての移住定住促進住宅に移住した澤田さんファミリー。左から彬さん、燈(あかり)ちゃん、陽(ひなた)ちゃん(1歳)、紡(つむぎ)くん(3歳)、麗奈さん。

澤田さんが住む戸建て住宅。2台分の駐車場付き。

 
境町のスゴイ子育て支援❶
第3子出産で50万円も。産前産後のサポートが手厚い

育児用品購入クーポン最大3万円のほか、第3子以降には出産奨励金を最大50万円支給。最大10万円の不妊治療助成費もある。子育てに関する相談員の配置や、産前産後子育てヘルパーの派遣も行っている。

境町のスゴイ子育て支援❷
固定資産税相当の奨励金、家賃補助など住宅支援が充実

澤田さん家族が入居した20年賃貸後無償譲渡の新築戸建て住宅や、新築の賃貸マンションのほか、民間賃貸住宅への家賃補助、50万円の住宅取得支援、固定資産税相当額の奨励金など、住宅支援が手厚い。

境町のスゴイ子育て支援❸
ワークスペースを備えた子育て支援施設

さかい子育て支援センター「S-WORK+KIDS」は、さまざまな遊具を備えて雨でも遊べる施設に、事前登録制のテレワークスペースやフリーキッチンを併設。子どもを遊ばせながら仕事ができる。

S-WORK+KIDSは昨年秋にオープン。遊び場は親子に大人気の「ボーネルンド」の大型遊具を設置。屋外では電動キッズカーでドライブできる。

境町のスゴイ子育て支援❹
雨の日・暑い日も安心!屋根付きの児童公園がある

「ニコニコパーク」は屋根が設置された児童公園。隣接する保健センターにはキッズスペースや授乳室も整備され、Wi-Fi完備のカフェも併設。雨の日も日差しの強い日も、親子で遊んでくつろげる。

公園をすっぽり覆う大屋根を設置。遊具はおしゃれで楽しく安全なデンマーク製。

 

子育て世代の転入で地域に子どもの声が戻る

町ではさらに、3LDKオートロック付きの子育て世帯向けマンションも新築、「アイレットハウス」として転入者を募る。こちらは無償譲渡こそないが、家賃は5万2000円(所得基準に該当する子育てまたは新婚世帯)。反響は大きく、戸建てとともに現在は満室だが、今後も住宅新設が検討されている。

子育て世帯移住定住促進住宅のアイレットハウスさくら館には2棟に27世帯が入居。

子育て関連の施設や、住宅支援のほかにも、小中学校での英語教育の充実、保育料や給食費などへの支援など、境町は平成26年以降、子育て・教育施策に重点を置いて取り組んできた。

町長の橋本正裕さんは語る。「境町では人口減少、特に子どもの数が激減しました。15歳未満で昭和50年と令和元年を比較すると、人口は6182人から2950人に、出生数は435人から146人に。人口減が進めば行政サービスも低下します。人口減を抑えるために転入者を増やす、なかでも子育て世代をターゲットに、境町に住みたくなる施策を考えました」

橋本正裕町長 (45歳)。平成26年に就任し、ふるさと納税や国の交付金などを活用、人口減 少対策として子育て支援策を推し進める。

町内には子育て世帯が住みやすい住宅が少なかった。「子育て世帯向けマンション「アイレットハウス」はその対策で建設し、移住促進のヒット策となった。

「旧市街地の空いた土地を活用しました。若い家族が住むことで高齢化が進む地域に子どもの声が戻るんです」

境町の近年の人口の社会増減の推移 子育てや教育、移住定住促進への取り組みの成果は人口の 社会増(転入ー転出がプラス)が5年で377人として数字に表れ ている。人口減少に下げ止まりも見えてきた。

 

境町から世界に羽ばたく子どもたちを育てる

また橋本町長は、3年前から町立小中学校で始まった先進的な英語教育も、移住の動機として注目されていると言う。「英語が話せれば活躍の場は世界に広がります。ただ、誰もが英語は大事だと思うけれども時間やお金をかける余裕がありません。だからこそ町で取り組もうと考えました。そして子どもが無料で英語を習える町なら、住みたい家族は多いはずです」

この「境町スーパーグローバルスクール事業」を英語教育のノウハウを持つフィリピン人講師たちが担う。町内の小学校5校に15人、中学校2校に8人、公設保育園2つに2人が配置され、文科省規定の時間に加えて独自のカリキュラムを展開。子どもたちは休み時間や給食時にも講師とかかわり英語に親しむ。昨年度は町内小学6年生の約半数が英検5級以上に合格した。

英語教育のほかにも、返還免除型奨学金や、給食費半額補助(3人目は無料)など、教育への支援は手厚い。

財源には米や常陸牛の返礼品が人気で30億円以上(令和元年度)を集めるふるさと納税の寄付金なども活用されている。

橋本町長は言う。「英語を身につけた子どもたちはいずれ町を離れるかもしれません。子どもの未来が開かれるまち。そこに魅力を感じて転入する人が途切れず、人口が保てれば、いいじゃないですか」

 

境町のスゴイ子育て支援❺
独自の英語教育で 小学校から英語に親しめる

 町立小中学校の児童生徒は先進英語授業のほか、英検受験料 無料。小学5、6年生対象の2泊3日イングリッシュサマーキャンプ、 コロナ禍でも姉妹校であるホノ ルル市の中学校とオンライン交 流などを通じて英語力を高める。

境町スーパーグローバルスクール事業。授業の枠にとらわれ ず毎日45分を目標に、英語に慣れ親しむ時間を確保する。

境町のスゴイ子育て支援❻
全小学校区に児童クラブ 学童保育

「放課後児童クラブ」は全小学校区に設置。放課後や土曜日 に宿題や自主学習を支援する「さかいっ子未来塾」は無料。保育園、学 校、児童クラブへの送迎などには 「子育てサポーター」も利用可。

小学校に隣接する敷地に建てられた 児童クラブの建物。

境町のスゴイ子育て支援❼
新規開業をサポート

境町創業支援センター「S-start up」には、シェアオフィスとシェアキッチンが各2室ある。町ではほかに、 古民家再生のシェアオフィス「オー プンイノベーションラボKIOKE」も 整備している。

「S-start up」では現在、カフェ、ラーメン店、画廊、家具リメイク店がオープン。

 

まだまだある!境町のスゴイ子育て・教育&移住への取り組み

境町ではお得な支援だけでなくほかにも、子育て・教育や移住についての取り組みが進んでいる。その一部を紹介しよう。

□移住促進奨励金 
初めて転入した人に、転入2・3年目に課税される住民税の30%、4年目は40%相当、5年目は50%額を交付。
□定住奨励金 
転入後2年以内に住宅を取得する人に固定資産税相当額を3年間交付。
□保育料第2子以降無料
□3~5歳までの給食費無料
□町内保育施設オムツ持ち帰りなし
□中学3年生まで医療費無料
□就学中20歳まで医療費助成
□町内勤務の保育士などに月額1万円支給
□友好都市ホノルル市への中学生派遣事業
□全小中学校の教室にエアコン100%完備
□学校トイレ洋式化

問い合わせ先/境町地方創生課
☎0280-81-1309

文・写真/新田穂高 写真提供/境町役場

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