田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

竹内孝功さんが教える自然菜園のコツ【第15回】イチゴ&ニンニク

甘酸っぱい初夏の味、完熟イチゴを露地で収穫

掲載:21年6月号

家庭菜園のイチゴは完熟で収穫したおいしさが楽しめます。

畑で育てるほか、プランター栽培にも適しています。

露地での旬は春から初夏。四季成り品種は秋にも実を付けます。

露地栽培向きの品種は、甘味とともに酸味があり、生食だけでなくジャムなどに加工してもおいしいです。

病虫害予防にはニンニクとの混植が効果的。

ハーブ類との混植は、花に集まる虫たちがイチゴの受粉を助けてくれます。

日当たりと水はけのよい畝に!新品種はプランター栽培で

(↑露地で育てるイチゴには適した品種を選ぶ。「サントリーらくなりイチゴ」は家庭菜園向きにつくられた最近の品種。)

栽培イチゴは江戸時代にオランダから日本に持ち込まれ、明治になって本格的に導入されました。

近年では日本で品種改良された品種が、そのおいしさから世界で注目を集めています。

日当たりと風通しのよい場所を好み、過湿を嫌います。

実が土につくとアブラムシやアリ、ナメクジなどが付きやすいので畑では高畝に。

養分のやり過ぎや、密植による風通しの悪さはアブラムシやダニを招きます。

露地では無農薬で育てやすい品種を選ぶのもコツです。

酸味が抜かれ甘さが際立つ最近の品種は、ハウス栽培に適しているため、家庭ではプランター栽培で雨を避けて育ててください。

夏の暑さは苦手ですが寒さには強いです。

ただし冬には弱く、霜で根が持ち上げられたままにしておくと、乾燥して枯れる場合があるので注意を。

多年草ですが、植えっぱなしでは年々花芽の数が増えて実が小さくなるため、1〜3年に度、ランナーの先に付く苗を採って植え付け、更新します。

品種選びのアドバイス

甘味とともに酸味が楽しめる、無農薬栽培に適した品種を選ぶ

冬の寒さに当たって花芽が付き、春から初夏に収穫する一季成り品種と、寒さに当たらなくても花が付き、秋にも実を付ける四季成り品種とがあります。

露地での無農薬栽培には、適した品種を選びましょう。

宝交早生(ほうこうわせ)

1960年に兵庫県で育成され、西日本で人気を博した。

甘さとともに酸味もあり、生食のほかジャムにしてもおいしい。

柔らかい果肉は輸送に適さず、家庭菜園で楽しみたい品種。

(↑粒は小さめで、早い時期から穫れる。)

章姫(あきひめ)

静岡県の萩原章弘氏が育成、1992年に品種登録された。

やや柔らかで酸味が少なくしっかりとした甘味。

(↑縦長円錐形の実は無農薬で育つ品種としては大粒。)

サントリーらくなりイチゴ

病気に強く育てやすい家庭菜園向きの品種。

春から初夏と秋に実を付ける四季成りで、粒が大きく甘くておいしい。

主なコンパニオンプランツ

ネギの仲間のニンニクやチャイブで病虫害予防!

ハーブの花に集まる虫はイチゴの受粉を助ける

ニンニク

効果

イチゴの病虫害を予防し、連作障害を抑える。

栽培のポイント

ニンニクは控えめに植える。ニンニクが多いとイチゴが負けてしまう。

収穫のポイント

春に芽を付けたら切り取ってニンニクを太らせる。葉茎の3分の1が枯れたら掘り上げる。

(↑収穫は晴天が3日続いて土が乾いた日に。)

ボリジ

効果

花がハチやアブを集めてイチゴの受粉率を高める。

栽培のポイント

イチゴの風上など畝の1カ所に植えておく。

収穫のポイント

花を摘んでエディブルフラワー(食用花)として利用。砂糖漬けにもできる。

(↑かわいい花が虫を集め、イチゴの実付きを助けてくれる。)

チャイブ

効果

イチゴの病虫害を予防し、連作障害を抑える。花は虫を集め受粉を助ける。

栽培のポイント

畑にニンニクのない時期に代わりに植え付ける。

収穫のポイント

柔らかい葉を葉ネギとして刈り穫る。咲いたばかりのネギ坊主を摘み、天ぷらやフリッターで食べるのもおいしい。

(↑ニンニクやネギと同じヒガンバナ科ネギ属で、西洋アサツキとも呼ばれる。)

ラベンダー

効果

花がハチやアブを集めてイチゴの受粉率を高める。アブラムシなどを捕食する益虫も集まる。

栽培のポイント

アレロパシー作用※が強く、地植えにするとイチゴをはじめほかの野菜が育たなくなるため、根が鉢の外に広がらないよう素焼きの鉢に入れ、鉢の下半分を畝に埋めて育てる。

※植物がほかの植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、または動物や微生物を防いだり、引き寄せたりする効果。

収穫のポイント

花を摘んでドライフラワーにする。

(↑強健なラベンダーは鉢ごと畝に埋めて育てる。)

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事