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田舎暮らしの本 10月号

9月3日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【13】

前回で「ニセ鴨居」が無事に納まった和田邸だが、今回から外壁の施工。防水シート、ラス網、そして漆喰下地塗りである。相変わらずの古い&安い資材でストレスマックスだ。

掲載:2017年5月号

漆喰壁の下塗りをする。おなじみの助っ人柴田さんと、今回が初めての広井さん(左)。

奥多摩と秩父、石岡。一番暖かいのはどこ?

 寒い日が続く1月末ごろの朝。和田邸のある茨城県石岡市も寒い。
 霜柱がハンパなく成長する(実際に作業をしたのは前年の秋だったので、まだ半袖です)。
中山「しかし寒いなあ茨城。奥多摩より寒いんじゃないの?」
和田「そんなわけないでしょ 」
中山「いや、意外と寒くないんだよ奥多摩。秩父のほうが絶対寒い」
阪口「え? うちのほうが暖かいに決まってるじゃん」(阪口邸は埼玉県秩父郡長瀞町)
 3人とも自分の家が一番暖かいと譲らないのだ。そこで調べてみたら、意外な事実が判明した。

【2017年1月の平均最低気温】※( )内は観測地点
東京都奥多摩町(小河内)…… -2.2℃
茨城県石岡市(笠間)…… -3.7℃
埼玉県長瀞町(秩父)…… -3.6℃
ちなみに東京都心……1.7℃

中山「ホラ! やっぱり奥多摩の人力山荘が一番暖かい!」
阪口・和田「なに! 納得できん」
中山「そうだと思ってたんだよー、前から。あー寒い寒い。寒くて死 にそうだ。早く暖かい奥多摩に帰りたいなあ」
阪口・和田「むかつく……」

中山の真新しい作業ズボンが 白く輝きすぎて写真的にどうなんだと阪口からクレームが。そんなこと言われたってねえ……。

自家用バリカンで自分で髪を刈っているという阪口。フト見ると襟足に刈り残しが(爆笑)。わざと刈り残したのかと思った。

防水シートはなぜか高級⁉

 というわけで今回の作業は外壁の施工である。
下地の腐れ野地板 → 防水シート → ラス網 → 下地モルタル → 仕上げ漆喰 という段取りである。
中山「寒いときにモルタルの施工はまずいんじゃないの?」
和田「大丈夫大丈夫!」
阪口「大丈夫な根拠がわかんない」
 気温が氷点下になると硬化する前に水分が凍結してしまい、モルタルやコンクリートがもろくなるのだが……、まあいいか、和田の家だし。
 防水シートは「透湿防水シート」という、和田にしては珍しく高級品が用意してあった(といっても3 4 8 0 円)。
和田「結露すると大変だからね!」
中山「これだけテキトーな施工をしていながら、妙なところにコダワリがあるんだよなあ」
阪口「そもそも漆喰仕上げにするなら、『透湿』の意味がないのではないかと」
 素朴な疑問はもちろん無視され、防水シート張りを開始。そのうえからラス網張りだ。一同タッカーで打ち付けていくが、
和田「このしょぼいタッカーは誰の? 中山さんの?」
中山「悪かったな。文房具だよ!」
水野「これ文房具なんだ」(失笑)
 基本的に中山が持っている工具は人力山荘最初期のころと、たいして変わってないので、しょぼいのが多いのだ。確かに使いはじめると、頻繁に目詰まりするわ、ちょっと気を許すと、針押さえのバネがはじけて、どっかに飛んでいってしまうわで、作業ストレスがハンパでない。それに比べて阪口と和田のタッカーは5000円もする建築工具で、使い勝手が段違いである。

腐れ野地板を打つ
一生懸命働く編集・水野と、休憩する中山。だがボンヤリしていると、和田から逆に面倒な 仕事が与えられることになる。

面倒な妻壁も1枚1枚張っていく。

腐れ野地板を打っていく助っ人の茨木さん。

防水シートを張る
和田にしては珍しい高級防水シート。適当な大きさに切って野地板の上に張っていくが、真壁なので、面ごとに切り張りすることに。

隅っこはいい加減で、足りてない部分も多々。 防水テープなどによる処置ももちろんなし。 漏水しないのか?…… ま、いいか。

ラス網を張る
これがラス網。モルタルのひび割れやはく離を防ぐ。

壁面全体にラス網を張っていくが、切り口のバリが袖に引っかかったり、モルタルから飛び出したりして、すごく面倒。

3年前の軽量モルタルは使えるのか?

 面倒なラス網張りが終わったら、お楽しみの左官だ。
中山「楽しみにしてたんだよ、左官工事を」
阪口「珍しいよね左官好きって」
中山「無心になれるのがいいんだよ。なにしろ達磨さんも壁に座禅して9年っていうからねー」
水野「やってることが全然違いますけどねー」
 しかしそうスムーズに進行するはずがないのが和田邸である。
和田「これ使って!」
 和田が持ってきたのは「阪口邸払い下げ」の軽量モルタルである。
中山「いつのだよ、それ?」
阪口「かれこれ3年前かな」
水野「しかも1つは開封してるし」
 トロ船にあけてみると拳大から米粒サイズまで「ダマ」がゴロゴロ。いくら練っても解消しない。仕方ないので、そのままコテ板に載せて塗りはじめるが、ダマが噛んでスムーズに塗れない。ストレスマックスである。しかも「阪口払い下げ」は途中でなくなってしまった。
和田「大丈夫! セメントがあるから!」
中山「下地に普通のセメント使うの? ガチガチにならね?」
和田「大丈夫! 軽量骨材買ってあるから!」
水野「なにそれ?」
和田「普通のセメントを下地モルタルに使うときに混ぜる骨材なの! 調合したのを買うより、こっちのほうが安上がり!」(えっへん)
阪口「でもこれケミカルだよね?」
和田「ぐ……。ホラ! な・る・べ・くだから!」
中山「要するにこういうことだね」

エコ < 安い

和田「いいから働く! ホラホラ! 動いて動いて!」
 ヒマそうにしていると容赦なく追い回す和田に急かされて、普通のセメントに軽量骨材を加え混練する。さらに「モルタル接着増強剤」を投入。これを加えることで粘度が増して、下地との接着力が増加、さらにはく離やヒビ割れを防ぐというスグレモノだ。しかし、この接着増強剤も数年前に買った使い残し。
水野「どのくらい入れるの?」
和田「適当適当!」
阪口「読めよ取説を。どれどれえーと……、『混入する場合はセメント1袋、砂75㎏に対して4~5㎏』」
一同「全然足りないじゃん!」
和田「今までの人力山荘でも、ちょっとしか入れてなかったよね?」
阪口「混入してもしなくても、どうでもよかったってことだね」
中山「確かにオレも、ゲームをクリアしてから攻略本を読むタイプだからなあ」(←取説大嫌い)
 結局、この軽量骨材は、あまりにパフパフで塗りにくく、途中で骨材を珪砂に変えるという結末に。かえって無駄じゃね。

下地のモルタルを塗る
漆喰壁の下地には軽量モルタルを使用するが、和田が用意したのは普通のモルタルで、砂を混ぜる。だが試しに塗ったら、ものすごく大変なことがわかり、途中で珪砂に変更。大量の砂は子どもの砂場になった。

こんなにでかいダマ が入ってた。見た瞬間にやる気をなくすレベル。 塗りはじめても小石ほどのダマが次々に出現。「ダマってられない(ダマだけに!?)」。

端材を利用してコテ板をつくる阪口。助っ人さんにも親切に指導する。

普通のセメントに下塗りモルタル用接着軽量骨材なるものを投入。軽くてフワフワで、発泡 スチロールを細かく砕いたような感じ。

さらに説明書も読まず、適当に接着増強剤を投入して混練。

いつの間にかすっかり家らしくなった和田邸。人海戦術でどんどん壁が下地モルタルで埋められていく。

すき間は新聞紙でリカバリー!

 さらにトラブルは続く。微妙な曲線を描く丸太のせいで、壁の下地に「数センチレベル」のすき間がアチコチに口を開けているのだ。これじゃあモルタルが載るわけがない。一体どうリカバリーするのか? 和田が取り出したのは新聞紙であった。
和田「丸めて押し込めばOK!」
水野「常に最もチープな選択肢を選ぶんだよね。和田さんって」
和田「奥多摩の中山さんの家だって、そうだったでしょ⁉」
中山「いつもウチを引き合いに出すけどね、アンタのとこよりちゃんと施工してますよ」
和田「だって新聞紙詰めてたじゃん」
中山「ぐ……。阪口のところも詰めたんだろ?」
阪口「ウチは詰めてません」(キッパリ)
中山「……まあいいよね! 自分の家なんだから!」
和田「そうそう! 自分の家だからね! なんでもOK!」
阪口・水野「なんなんだ、この低レベルなまとまりは……」
 この後、テキトー大王、和田による「新聞紙以上のスゴ技」が炸裂するのであるが、それはこの先のお楽しみ!

透湿防水シートやラス網は、あえて下地モルタルからはみ出るように施工しておき、はみ 出した部分は和田お得意のディスクグラインダーでカット。こうすれば柱と壁の納まりにすき間ができにくい。

新聞紙詰め込み作戦。内側から和田が丸めてねじ込み、飛び出した新聞紙を外側から担当・水野が調整。

そして奥多摩の人力山荘アネックスで、床下に新聞紙を詰め込んだ動かぬ証拠写真。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 

人力社

ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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