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田舎暮らしの本 8月号

7月2日(金)
850円(税込)

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必読! 自然災害と物件選びで知っておくべきこと

掲載:2020年10月号

自然の恵み豊かな環境は、一方で自然の脅威にさらされやすい。特に近年、自然災害は増加傾向にあり、田舎暮らしの物件選びはこれまで以上に注意が必要だ。そのポイントを解説する。

 

土砂災害は主に「土石流・地すべり・がけ崩れ」の3種類

 災害列島・日本に、自然災害と無縁な場所はない。

 地震はどこでも起こり得る。特に首都直下型地震や南海トラフ地震など、近い将来の巨大地震については被害軽減の備えが急がれている。

 地震以外でも沿岸部では高波・高潮・津波、河川の近くでは洪水、降雪地では大雪、活火山の近くでは噴火による災害リスクもある。

 都市部でも、大雨が降ればマンホールなどから水があふれて床下・床上浸水の被害が出る(内水氾濫)。

 日本では1982年から2018年までの平均で、1年間におよそ1081件の土砂災害が発生しており、近年増加傾向にある(図1)。2019年末時点で、土砂災害が発生する恐れのある区域は、日本全国で約67万区域にのぼると推計されている。

 土砂災害は主に次の3つがある。

 土石流は、長雨や集中豪雨により、山腹、川底の石や土砂が一気に下流へ押し流される現象。流れが速いと、一瞬のうちに人家や畑を壊滅させる場合がある(図2)。

 地すべりは、梅雨や台風の豪雨により、斜面の一部か全部が地下水と重力によってゆっくり下方へ移動する現象。土量が大きいため、甚大な被害につながる(図3)。

 がけ崩れ(斜面崩壊)は、急斜面で発生。地面に染み込んだ水分で土の抵抗力が弱くなり、粘土層などが動き出す現象。家が押しつぶされて人的被害が出る場合もある(図4)。

公的機関がハザードマップを作成

 災害リスクはハザードマップ(防災マップ)で確認できる。ハザードマップには、洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ、火山ハザードマップなど各種あり、作成した市町村のホームページで公開されている。必ず確認しておきたい。

 さらに国土交通省では多様な防災情報を集約して「ハザードマップポータルサイト」を運営している(図5)。

 このサイトには2つの機能がある。

「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを、地図や写真に自由に重ねて表示できる。自然災害のリスクはもちろん、かつての自然地形(山地、扇状地など)も一目瞭然だ。

「わがまちハザードマップ」は各市町村が作成した各種ハザードマップのリンク集で、目当ての自治体のハザードマップに簡単にアクセスできる。

ハザードマップとの付き合い方

 自然災害の被害は警戒区域に集中するため、ハザードマップは大いに役立つ。

 しかしハザードマップを100%頼りにすることもできない。なぜなら警戒区域ではない場所でも災害が発生し得るからだ。

 土砂災害警戒区域は、都道府県が指定する。まず地形図を元に現地を調査して危険がある範囲を特定(基礎調査)。それを住民に説明したうえで土砂災害警戒区域や特別警戒区域に指定するという2段階を踏む。そのため基礎調査で危険な範囲と特定されていても、警戒区域に指定されていない区域がある。

 また地形図の精度が低く、調査対象から漏れていた区域で土砂災害が発生することもある。警戒区域の指定基準は土石流、地すべり、がけ崩れで異なるが、この基準に満たなくても土砂災害は発生し得る。

 ハザードマップ以外で災害リスクを探る方法はないだろうか。

 地域の古老に過去の自然災害を尋ねるのも1つの方法だが、精度に問題が出やすい。

 古い地名も手掛かりになる。日本の地名には自然災害に関係したものが少なくないからだ。表1がその代表例で、水に関するもの、地形に関するもの、土砂災害に関するものなどがある。災害と無関係な由来を持つ場合もあるので、過去の災害事例とあわせて調べたい。

 注意が必要な傾斜地の人工地盤は見分けがつきやすい。いわゆる切土(きりど)・盛土(もりど)などの造成地だ。気をつけるべきは地震で崩れやすい盛土に立っている家、亀裂ができやすい切土・盛土の境目に立っている家だ(図6)。

旧耐震か新耐震かで耐震性能に違い

 大地震の発生確率は場所によって大きな違いがある。それを調べられるのが「地震ハザードステーション」(図7)だ。今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率などを地図で確認できる。

 都市計画区域外の田舎物件には当てはまらないケースが多いのだが、中古住宅を買うなら、耐震基準について知っておきたい。耐震基準とは地震に対する建物の強度基準のことで、建築基準法で定められている。2000年の改正もあるが、より重要なのは基準を大幅に見直した1981年の改正。それ以前を「旧耐震」、以降を「新耐震」と呼ぶ。

 旧耐震は、「震度5強程度の地震では、建築物が倒壊しない」という基準。

 一方、新耐震は「震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊や崩壊は免れる」という、より厳しい基準だ。

 旧耐震と新耐震は建築確認申請が受理された日が境となり、1981年6月1日以降であれば新耐震基準の建築物だ。建築確認申請の確認通知書の発行日で確認できる。

 ただし田舎物件に多い、あまりに古い物件、確認申請が基本的に不要な都市計画区域外の物件にこの方法は通用しないのは先述した通りだ。

 宅建業者は媒介契約の締結時に、顧客に対してホームインスペクション業者を斡旋できるか告知しなければならない。ホームインスペクション(建物状況調査)とは、既存住宅状況調査技術者が中古物件の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき部分を診断すること。詳しくは宅建業者に聞いてみるのがよいだろう。

 なお2020年8月から、不動産契約前に宅建業者が顧客に行う重要事項説明で、市町村が作成する水害ハザードマップを活用して、物件の水害リスクが説明されるよう運用が一部改正された。

文/山本一典 イラスト/関上絵美

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