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田舎暮らしの本 10月号

9月3日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【3】

ようやく土台が組み上がった和田邸である。次の作業は柱、梁、桁の刻みだが、
今回もまた「テキトー施主」和田の「テキトーぶり」が大さく裂だ!

廃材利用につきものの掃除&釘抜き

土台の次は柱、梁(はり)、桁(けた)、母屋(もや)、棟木(むなぎ)、小屋束(こやづか)の刻みである。それぞれの部材のホゾ、継ぎ手、仕口(しぐち)を加工するのだ。最近は「プレカット」で加工した材木を組み上げるのが主流なんだが、超低予算&廃材利用の和田邸では当然、手作業である。
水野「素朴な疑問なんだけど、廃材ってことは、すでにホゾや継ぎ手が加工してあるわけよね? 再利用はできないの?」
中山「たいがいダメですね。重機で解体するから継ぎ手が割れちゃっている場合が多いんですよ」
和田「そのまま使えそうな材も、たまにありますけどね」
阪口「それで、その使えそうな材木は、どこにあるの?」
和田「そこにあるじゃん」
中山「え? どれ?」
和田「これだよ、これ!」
阪口「もしかして、このゴミの山のこと?」
和田「失礼な! 立派な古材じゃないですか!」(プンスカ!)
中山「いや……、だってガイシとかくっついてるし」
水野「それにものすごく汚いし」
和田「ガイシは取って。古釘も全部抜いて。丸太はグラインダーで磨いてちょーだい」
一同「面倒くせー!」
阪口「買えよ新品を。オレが買ってやろうか?」
和田「ダメ! この連載は廃材を最大限に利用して、安く快適な家を建てるのがキモなんだから!」
中山「古釘抜くために、奥多摩から3時間もかけて茨城まで来るとはなあ……。あー眠い」(←朝6時前に起きて来た)
和田「あんたの家で、どんだけ古釘抜いたと思ってんの!」
中山「ぐ……。その節はお世話になりました」
というわけで、しぶしぶ作業を始める一同であった。
まずバールとペンチで釘抜き。これをやっておかないと、丸ノコやチェーンソー、カンナの刃が一発でダメになるので、一つひとつ確実に抜かないといけない。これが廃材の最も面倒なところだ。しかも地味な作業なのでモチベーションが上がらない。
水野「この釘、抜けないけど」
阪口「いいんじゃないの? ほっとけば」
水野「釘が途中で折れちゃった」
中山「いいんじゃないの? ほっとけば」
和田「ちょっとちょっと! いい加減なことしないでよ。どれ、貸してみ」
そう言って和田が中山のバールをひったくり、カナヅチで力任せに叩き込んで見事に引き抜いた。おかげで柱がボロボロである。
中山「こんなに傷つけちゃって、いいのか?」
和田「気にしない! どうせあとでグラインダーかけるから」
阪口「ここの家は、なんでもグラインダーだな」

全員総出で釘抜き&掃除。なにしろ廃材は手間がかかるのだ。

かつての人力山荘でひたすら釘抜きをしてくれた和田の奥さんのワカメちゃん。

腐った部分は削ればOK

和田のテキトーぶりはまだまだ続く。電動カンナをかけていた担当・水野が声を上げた。
水野「なんか腐りかけてる部分があるんだけど」
和田「どれ!?」
聞き捨てならない様子で和田が飛んでくる。見てみると確かに材木の一部が「す」が立ったようにグズグズになっている。
中山「雨漏りで腐食したんじゃないの?」
阪口「さすがにこれはまずいだろ」
和田「大丈夫! ここだけ削り取れば使える!」
中山「腐った野菜みたいに言うねえ」
和田「大丈夫! 桁に使うから!」
確かに柱よりも桁のほうが重要度が低い気がしないでもないが……。心配している一同を尻目に、チェーンソーでグズグズの部分を除去していく和田であった。
和田「ホラ! ピカピカじゃん!」
阪口「いやでも中がどうなってるのか……」
和田「大・丈・夫!」
根拠のない太鼓判を押しまくる和田に、どうにも腑に落ちない一同であった。
しかし、古材を見ていて面白いのは、家のどこに使われていた部材であったかが、加工の具合でわかってくることだ。例えば455㎜ごとに垂木彫り(たるきぼり)が欠いてあるのは棟木や母屋だ。二筋の深いミゾが掘ってあるのは鴨居(かもい)だったはず。ホゾ穴が掘ってあるのは土台か梁か桁に違いない。セルフビルド歴が長くなると古材の表情がいろいろ見えてくるものなのだ。

角材の腐食した部分をチェーンソーで削り落としてみたが……。大丈夫なのか?

阪口が母屋になる角材に腰掛け鎌継ぎの墨付けをして、中山が角ノミ、丸ノコ、手ノミで仕上げる。このあたりの作業は手慣れたもの。

でかくて重い棟木をなんとか担ぎ上げて組んでみるが、やはりホゾが入らないのだ。
中山「ホゾでかすぎて入んないんだけど!」
和田「どれ、貸してみ!」
ドカッ!ドカッ!(叩き込む音)
和田「ホラ入った!」

今回のコダワリは小屋組! まずは仮組みから作業

ところで今回の和田のコダワリの1つは、「小屋組」を仮組みしてみることであった。小屋組とは梁、桁から上の屋根の骨組みのこと。和田邸は桁に「曲がり丸太」を使用するので、現場合わせでホゾの位置や柱の長さを決定するため、いったん水平が出ている土台の上に載せて寸法を出すのだという。
和田「同時に小屋組も組み上げちゃって、ばらしてから再度組み上げて建前しようかと思ってさ」
中山「なるほど。それはいいアイデアだね。高所作業でホゾがはまらなかったときの、あの絶望感ったらないからね」
一度ホゾを入れ込んでおけば安心である。重い材木の上げ下ろしも1回ですむというものだ。
というわけで次回の作業は小屋組の仮組みということで、その日は解散となった。
さて1カ月後……。
和田家に行ってみた我われは目を見張った。仮組みがほぼ完成しているではないか。
中山「これ1人でやったの?」
和田「もちろん! 棟上げはみんなのためにとっておいたから!」
ドヤ顔で一同を見下ろす和田。
阪口「……これで完成でいいんじゃないの?」
中山「それがいいよ。竪穴式住居みたいでカッコイイじゃん」
和田「なに言ってんの! これはあくまで仮組みなんだから」
阪口「やっぱりバラすのか……」
水野「なんかもったいないよね」
中山「じゃあ多数決で竪穴式住居でいいことにしようか」
和田「ダメに決まってるでしょ!」
できれば高所作業や丸太吊り上げといったリスクを冒したくない一同の意見は当然否決された。
阪口「やはりあの巨大丸太を吊り上げることになるのか……」
中山「大丈夫かなあ建前。誰かケガしたらこの連載終わりだぜ? ねえ編集長?」
編集長柳「そうですよ! 安全第一でお願いします」(キリッ)
「本心じゃないでしょ」(疑)
阪口「確かに『墜落→骨折→入院』ってのは新しいな。いい写真が撮れそうだ」
一同「そこかよ!」
阪口「まあホラ、ユニッククレーン借りるんだしさ」
和田「借りないよ」
阪口「えーっ! 借りないの!?」
和田「大丈夫! チェーンブロックとウインチでOK!」
水野「足場とかは?」
和田「大丈夫! なくても平気!」
中山「いやでも……」
和田「大丈夫、大丈夫!」
阪口「こういういい加減な人って海外に行くと、よく会うよね」
中山「そうそう。調子のいいことばっかり言って、全然アテになんないんだよ」
和田「大・丈・夫♥」
次回、ついに棟上げに突入……、かも?

 

施主・和田のテキトーエピソード

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック

 

人力社

ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。

人力社HP➡www.jinriki.net

阪口HP➡https://www.sakaguti.org

和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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