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田舎暮らしの本 11月号

10月1日(金)
850円(税込)

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【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【16】

「燻炭(くんたん)断熱」で気分上々の和田。今回は荒床張りと電気の引き込みだ。助っ人には地味な床張りをさせている間、見栄っ張り星人・和田は軒天や破風にこだわる始末。構造はさておき、見栄えだけ重視した「天ぷら住宅」はどうなることやら。

掲載:2017年8月号

軒天と破風板半分が張り終わった状態で記念写真。この後、数カ月ぶりに足場を解体してスッキリ。

圏央道が通って便利のはずが中山は遅刻

 いつものように30分遅れで到着した中山である。
中山「いやー。圏央道開通したねえ。ずいぶんラクになったよ」
「圏央道」(首都圏中央連絡自動車道)というのは、都心をグルリと迂回する高速道路で、中山が暮らす東京・奥多摩と、阪口の埼玉県長瀞町、和田の茨城県石岡市の近くを直線的に結ぶので、非常に便利なのだ。
阪口「それがさ、思ったほど変わんないんだよねー。北関東自動車道のほうがガンガン飛ばせるから、距離があっても早く着く」
中山「えー全然違うよ。30分は早く着くね」
水野「にもかかわらず、いつもどおりの遅刻って!(怒)」
 そう言う担当・水野が防腐剤を塗っているのは、珍しく立派な板材である。おお。ついにウッドデッキに突入か? と思ったら違った。破風板(はふいた、切り妻屋根の端部に取り付ける装飾材)の塗装らしい。

奥多摩人力山荘のころから防腐剤塗りばかりやらされている担当・水野。体力、経験が必要ないので、水野にはピッタリ。決して面倒な仕事を押し付けているわけではありません!(←キッパリ)

阪口VS和田。珍しく和田が折れる

 破風板の取り付けは塗料が乾燥してからということで、最初の作業は電線の引き込みである。和田家の母屋から電源を引っ張ってくるんだが、もちろん電気屋さんに依頼しないとイケナイわけである。
 しかしプロに頼むとお金がかかるので、引き込みだけ自分でやり、配電盤の接続とコンセントの設置は友達の電気工事士にやってもらおうということらしい。
 さて、この引き込み方について和田と阪口がさっきから議論している。
和田「空中に張っちゃえばいいじゃん!」
阪口「それなら屋外用じゃないとマズイってば!」
 家庭用電線(VVFケーブル)は塩化ビニルの外皮で覆われていて、絶縁はしっかりしているが、あくまで屋内用で屋外用ではない。風雨や紫外線により劣化するのだ。結局、ここは和田が折れて、地中埋設に切り替えることにしたんだが、ここでも激論が……。
和田「裸で大丈夫!」
阪口「いやいや、腐食するでしょ!」
中山「腐食して停電したら、また掘り返すことになるんだぜ? 面倒くさいじゃん」
和田「大丈夫大丈夫!」
一同「だから! 大丈夫じゃないってば!」
 こと電気に関しては一同も強硬である。なにしろ危ないからだ。
 結局ここでもまた和田が折れて、どこかからもらってきた地下埋設用のチューブを通して埋設することにした。
 問題はVVFケーブルを、どうやってチューブに通すか、である。チューブ内には古い3芯ケーブルが通してあり、これを引っこ抜いて新しいケーブルを通したいんだが……。
中山「ちょっとマテ!」
 古い3芯ケーブルを引っこ抜こうとする和田を押し止めた中山が、素晴らしいアイデアを披露した。
 古いケーブルの先っぽに、これから通す2芯ケーブルを折って絡ませる。そして反対側から和田の馬鹿力で引っ張る。すると古いケーブルが引き抜かれるのと同時に、2芯ケーブルが入れ替わるというわけだ。昔、空っぽのチューブにケーブルを通すのに死ぬ思いをしたことがあった中山の、これ以上ないほどの的確なアドバイスであった(えっへん)。
一同「自画自賛しすぎ!」

解体現場からもらってくるVVFケーブルは、たいがい「ぶつ切り状態」なので、コネクタ等でつなぎ合わせる必要がある。※電気工事士の資格が必要です!

チューブ内の古い3芯ケーブルに、新たに通すVVFケーブルを引っ掛けてビニールテープでぐるぐる巻きに。そして綱引きの要領で引っ張る!

馬鹿力の和田がチューブに通したケーブルを引っ張る。中山と担当・水野が2人がかりでチューブを押さえるが引っ張られてしまう。

深さ30㎝くらい掘って埋設。重機のおかげで作業はラクラク。中山の操縦も手慣れたものだ。

電気工事士の友人が、コンセントを設置してくれた。おかげで、電動工具がガンガン使えるようになった。

腐れ野地板がまた登場! 腐れ具合に磨きがかかり……

 ケーブルの埋設が終わったら、助っ人一同は、床の施工。断熱材代わりの燻炭が敷き詰め終わった上に荒床(あらゆか)を張る。「荒床」とは床材の下に張る板材のこと。根太(ねだ)の上に直接、床材を張ることもあるが、断熱や、床鳴り(ギシギシいうやつ)を避けるため、荒床を張るのがていねいな施工である。
 ということで隅っこのほうから、毎度おなじみの「腐れ野地板」の余りを根太に打ち付けていく。今まで使われずに捨て置かれてきただけに、その「腐れ具合」は相当なもの。端部が朽ち果てて、ボロボロになっている板も交ざっている。
 何度も書いているが、とても新築住宅を建てているとは思えないのである。
和田「そこ、あぶない!」
水野「きゃーーーーっ」
 和田の声と水野の悲鳴が……。
水野「あーあ。また踏み抜いちゃった」
阪口「屋根の次は床ですか」
和田「今度踏み抜いたらペナルティーだから!」
一同「ペナルティーはオマエだ!」
 野地板が不足してくると今度は、どこかから拾ってきた合板の登場である。これがまた汚い。しかも大きさもバラバラだ。
中山「パッチワークみたいだね」
和田「いいのいいの! どうせ見えないところだから!」
水野「逆にいえば『見えるところは重要』ってことよね」

これはもう焚き付けでしょ!? というレベルの野地板。

割れが生じている板も和田は大切に張る。下手に体重をかけると突き破りそうだ。

汚い……。たとえ荒床といえども、張ることがためらわれる汚さだ。

板の厚みをノギス(測定工具)で計測。2、3㎜の誤差は、この際どうでもいいような気もするが……。

見えるところの作業は手を抜かない和田

 そう。「見栄っ張り星人」の和田は、助っ人一同に地味な作業をやらせている間、またしても1人でイソイソと何かやっているのだ。
 よく見ればミゾ切りカッターで相じゃくりの加工である(下の図参照)。
 しかも腐れ野地板ではなく、「新品の野地板」にカンナまでかけてある。いったいどこに使用するのか。
和田「もちろん! 妻壁(つまかべ)の軒天(のきてん)!」
「軒天」とは文字どおり「軒下の天井」のことで、本来、張っても張らなくてもいいんだが、張ったほうが見栄えはいい。 打ち付け作業も助っ人さんには任せず、和田が一枚一枚、自分で仕上げていくという念の入れようだ。
水野「見える部分だけは妥協しないんだよね」
阪口 「見えないところは妥協しまくりなんだけどなあ」
中山「なにしろ欠陥住宅のお手本みたいな……」
和田「なに!? なんか言った!?」
一同「なんでもねえよ!」
 軒天を張り終わったら、冒頭の「破風板」の取り付けだ。破風も軒天と同じで、構造上なくても構わないんだが、あるのとないのとでは見栄えが全然違ってくるというぜいたくな部材である。4mの1枚ものでは足りず、継ぎ足しすることになったんだが……、なんと幅がマチマチ。板ごとに製材の精度がバラバラなのだ。
中山「要するに規格外のものを束にして安く売ってたってことだね」
水野「安物買いでも妥協しないのね。和田さんって(泣)」
 とはいえ、破風板を取り付けた和田邸は、なんと見違えるように引き締まって見えるのである。
「天ぷら住宅」の衣がまた一段と厚くなっただけのような……。

助っ人につまらない作業を押し付けている間、お楽しみの軒天に没頭する和田は、ミゾ切りカッターで相じゃくり中。

目立つ部分だけは、自分でやらないと気がすまない。

破風の取り付け。微妙に板の幅が違い、急きょ丸ノコで微調整。「安物買い」は無駄な労力を使うのだ。

普通、屋根勾配は計算すれば出てくるはずだが、「究極の現場合わせ」で間に合わせる。ちなみに和田が工学部出身であることはナイショである。

破風が取り付けられた和田邸。屋根がスッキリ見える。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工

 

人力社

ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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