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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

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内装&焼き杉【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【28】

外壁工事が終わった和田邸だが、実は内装工事があまり進んでいない。なぜなら「テキトー施主」和田が、自分の好きな作業を優先してしまうからである。今回も地味な作業が続く……。

掲載:2018年8月号

やり直しのため、断熱材として敷き詰めたもみがらを回収するはめになった助っ人さんたち。しかも、くしゃみが止まらない。

ゴミのような材を使うから和田はテキトーなのか!?

和田「というわけで今日も地味な作業なんだけど、よろしく!」
 基礎コンクリート打ち、材木の刻み、屋根材張り、壁塗りなどの単調な作業は、人海戦術が手っ取り早い。今回も地元の助っ人さんを呼ぶことにした。
 とはいえ内装工事は多岐にわたる。いまだ石膏ボードすら張っていない部分もあるし、下地調整が終わっていない部分もある。天井板も張り終わっていない。一方で土壁まで終わっていて漆喰を塗るだけの部分もある。
 さて、どこから始めるのか……、と思っていたら、ここで恒例のサプライズである。
和田「じつはさ! 床のもみがらを直したいんだよね!」
一同「はあ?」
和田「例の防虫シートがたるんじゃってさ! もみがらが垂れてきているから、やり直したい!」
 だからあれほど言ったのに……。2017年7月号の記事でもおわかりの通り、みんなで口を酸っぱくしていさめたのに、和田はまったく聞き入れなかったのであった。
中山「要するにコイツは、なにも考えてないんだよな。思いつきだけで作業するから、あとで整合性がとれなくなって、やり直しするわけだよ」
阪口「だけど失敗しても、痛くもかゆくもないんだよね。どうせ拾ってきたゴミだから」
中山「そうか。どうせゴミだから思いつきで作業するのかな。てことはゴミが先か、思いつきが先か……」
 これを演えん繹えき法的に解釈を加えると、次のようになる。

中山「やはりコイツがテキトーなのはゴミのせいなんだよ」
和田「どうでもいいから! 作業して!」

「もみがら燻炭断熱」と称し、防虫シートを張りもみがらを床下に敷き詰めた和田であったが、案の定、防虫シートが垂れてきたのである。

もみがらを取り除き、再び合板を張る。

見えるところは相変わらず細かい

 仕方がないので作業に入ろう。
 とりあえず壁の下地をつくってしまおうということで、石膏ボードを張っていくことにした。
 ぬいぐるみとか竹木舞とか、いろいろ言っていたわりには、フツーに石膏ボードに落ち着いた壁の下地だが、毎度のことながら、これが面倒な作業である。例の丸太のデコボコのせいだ。
中山「まったく……。角材なら一直線に切るだけですむものを」
 ブツブツ言いながら作業していたら、和田がヒミツ兵器を取り出してきた。
和田「スクライバー。コンパスに水平器が付いた道具で、ログハウスの建築で丸太の表面形状を写し取るときに使うもの。これで丸太の曲面を、このように石膏ボードに写し取れば簡単!」
 なるほど。これで大まかなラインが写し取れるというわけだ。これはログハウス以外の建築現場でも活用できそうだ。
 石膏ボード張りが終わったら下地調整だ。石膏ボードのつなぎ目に下地テープを張ってパテで埋めていく。
中山「ウチはパテまでは塗らなかったけどなあ」
水野「下地とはいえ、仕上げたときにデコボコしていると見栄えがよくないからじゃない。見えるところだけは、やたらていねいなんだよね。和田さんって」

スクライバー用にと和田が出してきたエンピツが、ありえないほどチビていた。

スクライバーを使ってみる。まず扱いやすい薄い合板を壁にあてがい丸太のデコボコを写し取る。この合板から石膏ボードに型どりし、その線に沿ってカッターで切り出してみると……。だいたい正確なラインで切り取ることができた。

石膏ボードを切り取る、初助っ人の瀧田さん。

助っ人常連さんの柴田さんと季さん。

微妙に入らないときはボードヤスリ。大根おろしにも使えるぞ(←使ったことないけど)。

助っ人の瀧田さんと担当・水野の動きが妙に一致。題して「シンクロナイズド・石膏ボード張り」。

断熱材からグラスウールを取り出して詰め込む。スタイロフォームは畳床を再利用したもの。見えない部分は常にザツな和田である。

ボードとボードのすき間には下地テープを張り、さらにパテで埋めて下地処理。見える部分の仕上げには、一転して細かい注文がつく。

20㎝の1820㎜! 単位を合わせない和田

 その間に、和田は最も面倒かつ困難な天井板張りである。
 やったことのある人はおわかりだろうが、脚立に乗って長時間上を向いての作業は、かなり苦痛である。しかも天井板の寸法は現場合わせなので、端っこを収めるのに、いちいち脚立を下りて板を切り、また上ってはめて、合わなくてまた下りて……を繰り返す。
 とにかくやたら疲れるのだ。だから大工仕事はアシスタントがいてくれると大いに助かるのである。
阪口「仕方ない。手伝ってやるよ。カメラ持ってないカメラマンってどうなのよ。ブツブツ……」
和田「じゃあね! 20(㎝)の1820(㎜)でお願い!」
阪口「はいはい。20(㎜)の1820(㎜)ね」
 そして阪口がその通りに切って持っていくと……。
和田「なにこれ! 全然違うじゃん!」
阪口「えー? 言われた通りに切ったんだけど」
和田「全然細すぎる!」
水野「……もしかして、20㎜じゃなくて、20㎝なんじゃないの?」
和田「そう!」
阪口「合わせろよ、単位を!」
和田「わかってよ!」
一同「わかんねーよ!」
 同一のセリフ内にもかかわらず単位が違うとは……。おそるべしテキトー施主。
 齟齬満載の壁の施工は、あと少しだけ続く……。

梁が飛び出しすぎていて天井板が張れないことが判明し、手ノミで削り落とす……。ま、よくある失敗である。

何度も天井板を受け取る和田だが、サイズの間違いは自分のせい。

不安定な体勢でビス留めする和田。しかもビス跡はパテで埋めてグラインダーで削るという入念さ。見えないところは「腐れ野地板」のくせに……。

 

今回の作業が地味なだけに「ど派手な焼き杉のつくり方」

昔ながらの焼き杉のつくり方を試す。こんなので大丈夫なのか?

草焼きバーナーで壁板を燃やす和田(2017年6月号掲載)。

和田「以前、北側の外壁を焼き杉でつくったけどさ、そのときは草焼きバーナーを使ったでしょ。でも、本来は焚き火の上に野地板を煙突状に組んで燃やすんだよね。それをインターネットで見てさ、ちょっとやってみようと思って」
 その方法とは以下の通り。

 という具合である。実際にやってみた。
 ブボボボボボ!
 筒先からものすごい炎が! まるで産油国の煙突みたいである。しかし不思議なことに、ヒモを解いて板をバラすと、一瞬で鎮火してしまうのだ。

1回目のチャレンジでは、火が小さすぎて一部が煤けただけで敗退。

2回目はブロワーでガンガン風を送る。

するとにわかに火勢が強くなり、筒口から炎が勢いよく噴き出しはじめる。怖くなったのでヒモを切断し、蹴っ飛ばして倒す。

ばらけた野地板の内側は見事に炭化していた……と思いきや、よく見ると「生焼け」の部分も。速やかに水をぶっかけて消火。

 こうしてできあがった焼き杉。
和田「バーナーより、ある程度中までしっかり炭化して防腐効果も高そうじゃない。昔の人の知恵はすごいね。灯油代もかからないし」
中山「じつはウチの風呂小屋をリフォームしたんだけど、内壁に焼き杉を使いましてね。こんな感じに仕上がりました」(下の写真)
一同「おお! ゲキレツに変わったねえ!」
中山「この焼き杉、例の『草焼きバーナー』で焼いたんだよねー」
阪口「じつはオレも買っちゃった!(てへぺろ)」
和田「みんなコッソリ買ってるし!」
中山「水野さんも買ってたりして」
水野「買うわけないでしょ!」(←東京・中央区在住)

こうしてできた焼き杉は、北側の壁面に使用した。

こちらは、中山が草焼きバーナーで焼いた焼き杉で施工した自宅(奥多摩)の風呂。
中山「オレは草焼きバーナーのほうが実用的だと思う」

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

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