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田舎暮らしの本 10月号

9月2日(金)
850円(税込)

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20代で会社を辞めて地域おこし協力隊に。空き家バンクで見つけた農作業しやすい平屋【長野県阿南町】

掲載:2022年9月号

現在は地域おこし協力隊として野菜の栽培技術を学び、終了後は新規就農を目指す岡田さん。これまでは集合住宅の2階にある自宅を作業場代わりにしていたが、野菜を運ぶのに苦労していた。そんなときに出合った、理想的ともいえる空き家バンク物件とは?

以前は別荘として利用されていた建物。築18年で、材や間取りなど随所にこだわりが見られる。

南アルプスと中央アルプスに囲まれた南信州の南部、天竜川の右岸に位置する阿南町。集落は標高320〜960mに点在し、地域によって気候が大きく異なる。長野県で唯一、「町」を「ちょう」と読む。名古屋から中央自動車道経由で約1時間40分。

 

野菜の袋詰め作業も玄関先でできるように

 南信州のほぼ南端に位置する阿南町。まちの南北を貫く国道151号は「祭り街道」と呼ばれ、国重要無形民俗文化財の「和合(わごう)の念仏踊り」をはじめとした11の民俗芸能が息づいている。農林業が盛んで、高低差のある地形を利用した田んぼで育つ米や高原野菜、伝統野菜の産地としても知られている。

 飯田市と豊橋市を結ぶ国道から逸(そ)れ、いくつもの段々畑と森を過ぎたところに小さな集落があった。そこから少し外れたところ、木立に隠れるように立つ平屋が、地域おこし協力隊の岡田さん夫妻が暮らす家だ。

 岡田さんは名古屋市出身。就職活動をしていたときに日本の農業技術の高さや野菜の品質のよさを知り、同時に高齢化で農業が衰退していく現状に心を痛めていた。一般企業に就職したが、「農業を次の世代につなぐために行動したい」という気持ちが強くなり退職を決意。阿南町の地域おこし協力隊となった。

「僕は今25歳。もし失敗しても、取り返しがつく年齢です。だったら思い切って挑戦してみようと思い、農業分野の協力隊になりました」(岡田さん)

 結婚した奥さんと最初は町営住宅に入居。近所の農家さんから圃場(ほじょう)借り、キュウリ栽培の指導を受けた。

 当初、岡田さんはキュウリの袋詰めを自宅アパートで行っていた。しかし、1日2回の収穫のたびに大量のキュウリをエレベーターなしで2階まで運ぶのはきつかった。できるなら一軒家に引っ越したいと、空き家バンク物件をチェックするように。そんなときに出合ったのが、現在の家だった。

「外からだと狭く見えますが、中に入ると広々としていて、内装も木のぬくもりにあふれていました。決めるまでに4回内覧し、そのうち1回は売主のご家族が来て説明してくれました」

 売主自ら、物件のいいところと悪いところを詳しく説明してくれたおかげで、安心して決めることができたという岡田さん。奥さんは、これから暮らす家が平屋であるということがうれしかったという。

「実家は2階建てだったのですが、2階にいると1階が遠く感じられるので、ずっと平屋に憧れていました。この家は、キッチンを中心に回廊のように一周できる動線で、どこにいても家族の気配を感じられるところがとても好きです。キュウリの袋詰め作業も、広い玄関でできます(笑)」

 これから少しずつ手を入れて、庭などを使いやすくしたいと話す岡田さん夫妻。

「いい家に巡り合えたので、これからも安心して、ここ阿南町で農業を頑張っていけると思います」

家の前には前オーナーが植えたサクラの木があり、春に美しい花を咲かせた。

右側のダイニングの奥はキッチン、その奥は脱衣所と風呂で、さらに奥の廊下に行ける回廊のような間取り。

琉球畳が敷かれたリビング。床材は国産のサクラの木を使用している。

家の横には小さなウッドデッキがある。前オーナーの洗濯機が置いてあるが、近々撤去の予定。

元は牛舎だった建物。駐車場が狭いため、これを解体して方向転換できる駐車場をつくる予定だ。

別荘だったとは思えない、広々とした玄関。1日2回、収穫したキュウリをここで袋詰めする。

キュウリを収穫する岡田さん。「本当は家庭菜園もしたいのですが、手が回りません(笑)」。

家の裏の傾斜地にはちょっとしたブルーベリー畑が。「名古屋の母が喜んで摘みに来ます」と岡田さん。

現在は800㎡の畑を借りている。「今の1.5〜2倍の量を生産できるようになって、阿南町の農業を盛り上げるのが目標です」。

阿南温泉かじかの湯の近くにある、門原(もんばら)川で涼む岡田さん夫妻。町内でデイキャンプを楽しむこともあるそう。

岡田さんに聞く!物件探し

Q. 毎日、家事をするという視点から、平屋のメリットはありましたでしょうか?

A. この家は、室内に段差がないバリアフリーになっているので、掃除をするのが楽です。バリアフリーでなくても、コンパクトな平屋なら階段掃除などがない分、掃除は楽かもしれません。引っ越しも楽でした。

Q. 平屋は「小さな家」という印象ですが、荷物が多い人には向きませんか?

A. この家は広い敷地に建てられており、延床面積は広め。そのうえ、収納も充実してあり過ぎるくらい。部屋数が多い平屋なら、1室を収納部屋にするのもアリですね。

 

文/はっさく堂 写真/村松弘敏

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