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田舎暮らしの本 10月号

9月3日(金)
850円(税込)

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DIYで! 築100年の古民家をナチュラルモダンにリノベーション【京都府舞鶴市】

掲載:2020年10月号

日本の伝統家屋である古民家。その重厚感あふれるたたずまいが、近年、若い世代の関心を集めている。古民家に新たな命を宿らせた移住者を訪ね、リノベーションや、DIYのコツをうかがった。

囲炉裏でいぶされた太い梁(はり)にひとめぼれ

京都府舞鶴市(まいづるし)に暮らす岡山拓也さん(39歳)と妻・まりげさん(33歳)は築100年の古民家を1LDKに大改造。天井の黒く太い梁に合わせて照明も黒に統一。木とのコントラストがオシャレ。

 京都府の北、リアス海岸の美しい景色が広がる舞鶴湾。穏やかな海面にカキの養殖筏(いかだ)が浮かび、湾沿いには山を背に小さな集落が立ち並ぶ。その中の1軒、周囲に溶け込む平屋の古民家の玄関を開けると雰囲気は一変。木をふんだんに使ったモダンな大空間が広がる。

「幼い男の子が3人(7歳、5歳、3歳)いるので、子どもたちがのびのび走り回れるよう、住まい全体を1つの空間としてリノベーションしました」とご主人の拓也さん。

 玄関入ってすぐは土間のDK、そこから1段高くなっているのが26畳の居間、その奥に寝室がある。間取りは1LDKだが、DKと居間には壁がなく、ロールスクリーンで仕切れるだけ。寝室と居間の間にもドアがない。

玄関入ってすぐのDKはモルタルの土間。靴を脱ぐ必要がなく、仕事や遊びの合間の飲食にも便利。居間は1段高くなっており、踏み台のある写真右から入る。

「誰がどこにいても家族の気配が感じられるので、コミュニケーションが円滑になりました」と妻のまりげさんは笑う。

 じつは「まりげ」とはコミックエッセイストとしてのペンネームで、SNSで子どもたちとの田舎暮らしの様子を発信中。

 それにしても3人の子どもがいる割に片付いた住まいだが、これは「物が少ないほうが豊か」という2人の価値観から。収納場所があれば物をため込むし、散らかることも多いからだと言う。

ベッド枠を手づくりし、セミダブルのマットレスを3つ並べた広々とした寝室。家族5人がゆったりと寝られる。

寝室奥はウオークインクローゼットに。天井高を生かし、家族5人分の洋服や小物を整理整頓。

 以前は埼玉に住んでいた岡山さんご家族。仕事にも満足していた拓也さんだったが、朝から晩まで忙しく、幼い子どもと触れ合う時間もとれない。大自然のなかで家族と一緒の時間を過ごしたいと、実家の舞鶴で祖父のカキの養殖業を継ぐ決心をした。それが2016年暮れのこと。当初は拓也さんの親と同居していたが、自分たち家族だけの家がほしくて家探しを開始。地域の人に紹介してもらい、築約100年の今の家を見つけた。

「こんな古い家、若い人はイヤやろ?」と言われたが、海のすぐ近くで窓からの景色がいいし、何よりチラリとのぞく太くて黒い梁にひかれた。

「囲炉裏の煙にいぶされた立派な梁にひとめぼれ。古民家ならではの伝統建築は魅力があり、改装すれば、そんな昔の梁や柱を生かしたいい家になると確信しました」(拓也さん)

住みながらアップデート中

 仕事の合間を縫って、2017年5月に解体からリノベーションがスタート。いったん軸組だけのスケルトンな状態に戻し、そこから専門技術が必要な電気や水道工事、床下張り替えなど一部を除いて、設計・デザインから壁板張りや断熱工事、塗装まですべて自分たちで行った。

【Before】 1段高くなっていたキッチンの段差をなくして土間のDKに。

【Before】 天井板も撤去し創建当初の太い梁を出した。

「4部屋の和室を寝室と大きな居間にするなど、最初に大きなイメージは持っていました。でも解体していくうちに居間部分の隠れていた梁も立派だったので、それを生かしたくて既存の天井や垂れ壁、鴨居も撤去。結果、約3mの高い天井高を持つ開放的な空間になりました。作業しながらより理想の住まいに近づけていけるのもセルフリノベーションの面白さですね」と拓也さん。

居住スペース全体を1つの空間としてゾーニング。4つの和室と縁側をつなげて広々とした26畳の居間と8畳の寝室(中央の板で囲まれている場所)に。手前の桟(さん)は縁側の障子の桟で、インテリアとして効果的に使われている。

 ちなみにリノベーション1年目の「家の中にブルーシートがある状態」で住み始め、現在は約2年経過。その間、薪ストーブや本棚、机などを暮らしの必要性に応じて自作してきた。

「壁など未完成の部分もありますが、住みながら自分たちの生活に合うように少しずつ手を加えていくことで居心地のよい住まいに近づいてきています」とまりげさん。

 子どもたちの成長とともに住まいもさらに楽しくすてきに成長していくことだろう。

古民家セルフリノベのアドバイス

 最後に、お二人に古民家をセルフリノベーションするうえでのコツをうかがった。

「最近はインターネットにリフォーム動画も出ているので、まずはそれを見て勉強を。私も自分がリノベーションで得た知識を公開しているので、よければ見てください(YouTube『オカハチリノベーション』)。建材などの材料は基本、ホームセンターで売っているものを使用。普通は表材として使用しないものも使い方次第でカッコよく仕上げることができますよ!」(拓也さん)

針葉樹合板を突き合わせた角は見栄えが悪いのでアングルでカバー。板に金属を組み合わせることで引き締まった表情に。

「最もつらいのは解体時。何度も心が折れそうになりますが、でも、いつか終わりが来る、つらい時期も後で笑い話になるので、とにかくがんばりましょう! それに解体時に見つけた古いガラス瓶や木の箱はお宝。どんなふうに暮らしに生かそうか、考えるのも楽しみですよ!」(まりげさん)

まりげさんこだわりのキッチンは無印良品のものをDIYで組み立てた。収納物が目に入るから掃除をする気になるし、小物をディスプレイしても見栄えがする。庭に咲いた花や手づくりの梅酒を並べて目でも楽しめる空間を演出している。

リノベーションにかかった費用

【外注工事】

電気工事 70万円

風呂新設 45万円

大工工事 95万円(シロアリ被害補修・床・風呂・土間コンクリート)

水道工事 35万円

【DIY】

断熱材 6万円

キッチン 70万円(シンク・タイル・レンジフード・水栓)

照明器具 20万円

壁・天井 23万円

薪ストーブ 10万円

塗料 2万円(天井・渡り廊下・トイレ)

玄関棚 1万円

ワークスペース棚 2万円

カーテン 5万円

その他 10万円

合計 394万円

※補助金 舞鶴市の農村移住制度 180万円を利用

舞鶴の海で育てた新鮮なカキはホームページでも販売中(「岡山八朗兵衛商店」https://okayamahachirobe.shop/)。まりげさんのコミックエッセイはWEB(インスタグラム@marige333)のほか、本でも読める(『たのしいことを拾って生きる。』(まりげ/大和書房)。

 

文/久保典子 写真/谷口 哲 写真提供/岡山拓也

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