田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら

最新号のご案内

田舎暮らしの本 10月号

9月3日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

70万円で家を購入。夫婦で改修を楽しみながら、食の自給率を高める暮らし【鹿児島県伊佐市】

掲載:2021年8月号

南九州の山々からの水資源と、昼夜の寒暖差が激しい気候が特徴の伊佐市。焼酎のふるさとで、県内屈指の米どころとしても名高い。自給自足を目指す柳瀬さん夫妻にとって、まさに理想的な環境だった。

田植えに備えて自宅でイネの苗づくり。野菜だけでなく米も無農薬で栽培している。

九州山地に囲まれた伊佐市は、暑い夏とは対照的に冬は寒く「鹿児島の北海道」とも。川内川(せんだいがわ)に代表される良質な水に恵まれ、農畜産業が盛ん。菱刈(ひしかり)鉱山は金の埋蔵量日本一の現役の金山。鹿児島空港から車で約50分。

 

山に囲まれた環境が、人にも作物にも好影響

「夜は星がきれいで、朝は鳥の声で目が覚めるんです」

 そう話す柳瀬竜也(やなせたつや)さん(33歳)・悦子(えつこ)さん(42歳)夫妻が暮らす家は、隣家とは200m以上離れた小高い所に立地。すぐ近くに名瀑「曽木(そぎ)の滝」があり、山間の大自然の魅力を身近で感じられるという。

 ここ伊佐市へ東京から移住した理由は、竜也さんの曽祖父がかつて伊佐市にいたことがわかり、縁を感じたから。その後、古民家を借りて2018年から約3年住んだのち、現在の物件を購入して今春入居した。

 価格は約70万円と安かった半面、全体的に傷みが激しく、市の改修費補助金75万円を活用して改修した。

畑と山に囲まれた築50年弱の平屋。 生活用水が井戸水であることにもひかれたという。

【Before】田の字形に配置された4.5畳の和室。襖や土壁など昔懐かしい趣。

【After】自然素材にこだわり、床はヒノキ、天井はスギ、壁は漆喰で4室とも一新。襖も張り替えた。

【Before】改修前のキッチンはカウンターにゆがみがあり、経年による壁や床の傷みが見られた。

【After】改修後のキッチン。システムキッチンへと入れ替え、壁や天井は自分たちで漆喰を塗った。

【Before】和室2室に面する形で設けられた南向きの広縁。ゆったりとくつろげる。

【After】和室2室に面する形で設けられた南向きの広縁は、床板を張り替えてさらに明るい雰囲気に。 奥の収納もつくり替えた。

大まかな改修は完了したが、今もDIYで床の間など細部の模様替えが続く。

 宅地に付属していた約290坪の農地は、モモやナシ、プルーンなどを植え、生育具合を見ながら果樹園として広げていく計画だ。転居前から借りている約450坪の田んぼと約150坪の畑では、無農薬・無化学肥料で米や野菜を栽培している。

「伊佐市は一日の寒暖差が激しく、おいしい作物が育つ理想的な環境なんです」

 そう話す竜也さんは有機農業の農園、悦子さんは福祉施設でそれぞれ働いて収入を得ながら、自分たちの田畑を管理。

「まずは今ある農地をフルに活用して、自給率をどんどん上げていくことが目標です」 と、竜也さん。

 敷地内には鶏小屋と豚小屋が残され、その気 になれば渓流釣りを教えてくれる人も近くにいる。食の自給の伸びしろはまだまだ大きい。

付属していた畑は果樹園として活用。現在は苗木を植え付けたところ。

「伊佐市は食べ物がおいしいのも魅力です」と柳瀬さん夫妻。ときには山や里の幸を求めて出かけることも。

親しくしている前所有者の永吉由美子さん(左)。「思い入れのある家を使ってもらえてうれしい」と話す。

 

【柳瀬さんの移住データ】改修にかかった費用(概算)

約400万円

床・天井の張り替え、キッチン交換など。

●地域でかかる費用

自治会費…年5000円

●参加している地域の行事

総会のほかは特になし。

 

【柳瀬さんの山の楽しみ】天空の牧場で黒豚を味わう

「本当に天空という感じの牧場の風景が眺められます」と悦子さんが話すのは、沖田黒豚牧場が営む牧場民宿レストラン「和-のどか-」。餌にこだわって放牧で育てた黒豚の肉は「身が引き締まっていて、うま味がしっかり」と、特に竜也さんのお気に入りだ。

【伊佐市の山グルメ】沖田黒豚と金山ねぎの冷しゃぶうどん

写真・レシピ協力 沖田黒豚牧場

材料(1人分

沖田黒豚150g

金山ねぎ100g(小口に刻んで水にさらす)

小ネギ飾り程度

うどん乾麺70g(または冷凍麺180g)

だしめんつゆ100ccに練りゴマ20gをといて酢30ccを加える

つくり方

❶ 鍋に湯を沸かし、豚肉をしゃぶしゃぶして氷水で冷やす。

❷ ①の鍋でうどんをゆで、流水でぬめりをよく洗い、氷水で冷やす。

❸ 器にうどんを盛り、豚肉をのせて金山ねぎと小ネギを飾り、だしをかける。

【伊佐市の山の幸の取り寄せ】

牧場民宿レストラン「和-のどか-」

☎︎0995-28-2098 https://www.okita-pork.com

【担当者に聞く!】伊佐市オススメスポット&グルメ

 伊佐市の豊かな水資源を象徴するのが、明治時代に建設され、水力発電所として国内最大級の出力を誇った曽木発電所。今はダム湖で見え隠れする遺構が往時をしのばせる。

 また「伊佐米を筆頭に食材が充実」と、企画政策課の河野英二さん。“天空の放牧場”沖田黒豚牧場、米育ちの牛が自慢の伊佐牧場はその代表だ。

中世ヨーロッパの城を思わせる近代化産業遺産の曽木発電所遺構。ダムの水位が下がる5月~9月ごろのみ姿を現す。

霧島連山を望む伊佐牧場直売所では、新鮮な和牛の料理のほか特製ソフトクリームもオススメ! http://isaboku.com/market.html

伊佐牧場のチーズ。うま味が凝縮されたカチョカヴァッロは焼くと風味が増し、ビールやワインに最適。

【伊佐市移住支援情報】快適な平屋で移住体験を

 お試し移住ができる「移住体験住宅」として、菱刈川北地区と菱刈重留地区に各2棟を用意。2DKまたは1LDKの平屋で、3泊9000円から最長27泊4万円まで。主な家具・家電は備えているが、布団や衛生用品などは別途用意が必要。滞在中は希望に応じて、空き家見学や先輩移住者訪問などのサポートを行う。

お問い合わせ:企画政策課 ☎︎0995-23-1311 https://www.city.isa.kagoshima.jp/teiju

菱刈重留地区の3・4号棟。水洗トイレなど快適な設備を完備。

左から企画政策課の河野英二さん、地域おこし協力隊の髙市知美さんと田畑敦大さん。「伊佐には100円で入れる温泉もありますよ」

 

文/笹木博幸 写真/樋渡新一

この記事をシェアする

関連記事

この記事のタグ